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【スペック&価格ガイド】ESPの歴史と特徴を画像付きでまとめて解説

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【スペック&価格ガイド】ESPの歴史と特徴を画像付きでまとめて解説

楽器メーカーとしてのみではなく、ミュージシャンや製作者のため学校の運営など音楽のトータルプロデュースを行っているESPの魅力とは?

長年に渡り日本の音楽シーンと密接な関係を構築し数多くのミュージシャンや楽器製作者、そしてクオリティの高い楽器を輩出し続けるESPとはどんな存在なのだろうか?

今回はESPの歴史や企業としての実態、メーカーの様々なこだわりと人気モデル、さらには楽器の相場観にまで迫りESPというブランドを徹底解明していく。少々長くなるが最後までお付き合いいただけたら幸いである。

ESPの歩み

ESPの始まり

ESPの始まり

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まだオーダーメイドギターが世界的に普及していない1975年、日本楽器製造(現YAMAHA)を経てFujigenにてGrecoの設計を担当していた椎野秀聰氏とMoonの創業者であるMoony K Omote、そして現代表である渋谷尚武氏によりESPは設立された。

当時日本にはミュージシャンの要望に応えた楽器の製作やリペア、モディファイなどを行うギターメーカーが存在せず、1979年にギター用ボディ/ネック材の販売並びに国内初のエレキギターフルオーダーシステムを開始し開業当初より医院を改装した渋谷氏のショップには数々のミュージシャンをはじめとした顧客が集まることとなったのだ。

しかしESPの設立目的は楽器製作だけでなくギターリペアマンの養成も含められており、1975年に第一回ギターリペア講習会を開催、単なる工房やギターブランドとは一線を画す活動を並行して行っていくこととなる。

ブランドの確立と事業改進

ESP製の楽器は創立3年目から継続して出展していたNAMMショウで"ギター1本から希望通りに製作するブランドがある"と評判を得て世界中から注文が殺到することとなった。

ニール・ショーンのダブルネック

※2(ニール・ショーンのダブルネックギター)

ニール・ショーンのダブルネックギターやジョージ・リンチ、カーク・ハメットやジェイムズ・ヘッドフィールドの楽器など様々な著名ギタリストのオーダーに応え、1981年にはニューヨークにESP USAを設立、Kramerをはじめとするギターブランドにボディやネックなどを供給するOEM生産も行ったのである。

また1983年に設立当初から行われていたリペア講座から発展した製作とリペアに関する養成所である"日本ギター製作学校"、翌年1984年にはポップミュージック分野でのプレイヤー養成を目的とした"日本創作音楽院"を設立する。

1985年には新設された日本ピアノ調律師養成学院とともに3校を組織化、ESPミュージカルアカデミーグループとして教育分野にも注力していくこととなるのである。

音楽業界の巨大カンパニー、ESPグループの誕生

音楽業界の巨大カンパニー、ESPグループの誕生

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企業としての拡大をさらに推し進めたESPは1990年までにかけSeymour Duncanの日本エージェントを務めてきた優美サウンド、バイオリン製造会社である木曽鈴木バイオリン、さらにはアメリカのハイエンドギターブランドであるSchecterを買収する。

余談にはなるがSchecterは1983年にテキサスの投資家に買収されTom Anderson氏らをはじめとしたメインビルダーたちを失ってから量産された製品の評判は非常に悪く、ESP買収後に原点である工房製作に戻ったのち再び評判が上がったのである。

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そしてギターショップESPクラフトハウスやBIGBOSSを筆頭に全国に販売店、アメリカ・LAにサンセットカスタムギターズ、中国・黒竜江省にESP-Chinaを設立、さらなるセールスの向上を図ったのである。

また教育事業はESPミュージカル・アカデミーを学校法人化、日本ギター製作学院の一部をESPギタークラフトアカデミーとして併設するなど国の認可校として様々な人材を輩出していくこととなるのだ。

さらには米国の音楽学校MI(ミュージシャンズ・インスティチュート)を買収し日本国内にもMIジャパンを開校、近年では声優部門を含めたESPアニメーション声優専門学校など広い範囲でのプロデュース業に力を入れている。

ハイクオリティなモデル群

ESPプロデュースによって構成される定番ブランド

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ESPはギター製作のみならず事業グループを形成し業界内で幅広いジャンルの業種に携わってきた。楽器のみを製作しているブランドに比べ多くのフィードバックが得られる環境で楽器の製作が行われていて、かつ多くの派生、傘下ブランドがあるため多種多様なモデルが高い次元で製作されているのである。以下の表はESPプロデュースによって構成される主力ブランドだ。

ESPを構成する主力ブランド
ESP ジャパンクオリティを世界に発信する最上位ラインアップ
Navigator ESPの手工技術と解釈でリプロダクトされたトラディッショナルシリーズ
Ltd ESP USAがプロデュースするグローバルスタンダードシリーズ
E-II ESP USAが企画・開発するプロフェッショナルシリーズ
Edwards 高いコストパフォーマンスを実現した即戦力モデル

ここから各ブランドのコンセプトにも触れながら定番モデルを紹介していこう。

ESP Horizon Series

ESP Horizon Series

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まずはジャパンクオリティを世界に発信する最上位ラインアップESPの定番機種Horizonモデル。

メイプルトップ/ホンジュラスマホガニーバックのボディにエボニー指板/3Pメイプルネックと最高級のマテリアルを使用して製作されており、セットネックながらなめらかに加工されたネックヒール部、視認性を考慮したダブルストライプインレイなど高級感あるルックスと高いプレイヤビリティが高い次元で実現されている。

ストップテイル/フロイドローズトレモロ搭載やトップ材の選択が可能で、2Hレイアウトの基本モデルにはSeymour Duncan Custom Shop製59/Jazz Hybrid(Neck)と59/JB Hybridが搭載される。

Navigator N-LP-STD

Navigator N-LP-STD

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トラディショナルスタイルの楽器を製作するNavigatorによるLPタイプ"N-LP-STD"モデル。

トップには脱色後に着色を施したハードメイプル、ボディバックとネックにはホンジュラスマホガニーが使用され、ディープジョイントで接続されたネックのセット角はヴィンテージ同様の3度、無漂白ボーンナットなどこだわりのスペックが盛り込まれている。

ピックアップはSeymour DuncanとオリジナルPAFの設計者Seth LoverとのコラボレーションモデルSH-55モデルが搭載され、カラーやアーチ、エイジド等を好みのオリジナルバーストに合わせてのカスタムオーダーも可能である。

Ltd KH Sparkle Ouija

 

Ltd KH Sparkle Ouija※7

コストパフォーマンスラインナップを製作するLtdによるMetallicaのギタリスト"カーク・ハメット"シグネチャーモデル"Sparkle Ouija"。

本家ESPと同様のメイプルスルーネック構造、近年のトレードマークとなっている紫のスパークルフィニッシュにOuijaペイントなど、廉価モデルとは思えない仕上がりとなっている。

ピックアップにはEMG製のカークシグネチャーモデル"Bone Breaker"が搭載されており、以前使用していた81モデルに比べクリアでタイトなサウンドが特徴となっている。

E-II HRF NT-8B

E-II HRF NT-8B※8

ESP-USAにより企画/開発されるE-IIブランドにより製作される8弦モデル"HRF NT-8B"モデル。

サテンブラックフィニッシュ、バインディングが施されたホライゾンシェイプのアルダーボディー、多弦モデルならではのテンションに耐えうる3Pのメイプルスルーネック、テクニカルなプレイに対応するヒールレスジョイントや最終24Fなどが採用されている。

ピックアップはEMG製の85-8H(Neck)と81-8H(Bridge)が搭載され、ハイゲイン時のノイズの少なさや低音弦のクリアさを実現している。

Edwards E-SN-ALR 22/SSH/R

Edwards E-SN-ALR 22/SSH/R

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ストラト・スタイルを踏襲したコストパフォーマンスに優れたエントリーモデル。

ボディ材にはアルダーが用いられ、ストラト特有の歯切れの良いアタック感が生まれる。ピックアップ構成はSSH仕様となっておりリアピックアップはコイルタップによってシングル/ハムバッカーの切り替えが可能。

ボリュームを絞った状態で高音域を残すハイパスフィルターが標準で取り付けられているため、ボリュームを絞った際の音もコモらず自然なサウンドを出力してくれる。

 

ESPの価格相場とおすすめの購入/売却方法

ESPには様々なモデルや内部ブランドを展開することで個性に広がりを持たせており、その上でのカスタムオーダーなどが可能など非常に魅力的なものとなっている。

さて相場観になるが中古市場は新品定価などを考慮すると思っている以上にお買い得なプライスがつけられ、定価60万円を超えるフラッグシップモデルも中古となれば半額かそれ以下で店頭に並んでいる。

理由は簡単だ、買取価格が非常に安いからである。

例としてSugizo氏のシグネチャーモデルとして有名なEclipse S-II Brilliant Mixed Mediaで新品価格と大手楽器店の中古買取額を比較してみると新品¥594,000+税に比べ買取価格は¥90,000と新品価格の15%程度の買取額で取り扱われることとなってしまうのだ。

筆者は長らく楽器店で査定業務に携わってきたが、実際に買取査定額を伝えたうえで持ち込まれる確率はほぼ10%に満たなかったのではないかと思う。そしてその後のほとんどの場合問い合わせがあった商品はYahooオークション等の個人売買サイトで出品されていることが多かった。

私はESPをはじめとする派生ブランドの楽器を売却する際は個人売買サイトを利用することをお勧めする。売却できるまでに多少時間と手間が掛かるかもしれないが少なくとも買取額よりは数万円高い値段で売却できる確率が高い。

では購入する際も同様だろうか?

答えはNOである。購入する際は中古楽器店にて購入することをおすすめする。

個人出品の場合は「オーダーモデルだから」、「新品で買ってほとんど弾いていないから」など、売却主の”気持ち”が入った額で正直市場価格よりも高く出品されていることが多いだろう。

オーダーモデルは弾いていなくても中古市場に並べば同じ土俵、中古を扱う楽器店の場合は100万円を超えるカスタムーオーダーモデルも定価¥40万円の現行モデルもさほど変わらない扱いをする。いやむしろこの場合定番スペックではないであろうカスタムオーダーモデルの方が安く買取り安く売るというのが現実だ。

特殊な独自スペックを反映したオーダーものは中古市場では厳しい扱いとなるが、裏を返せば特殊でレアなモデルであってもESP楽器は中古市場において大変お買い得に入手できる可能性が非常に高いということである。

売買の際の価格差はあれど国内外様々なアーティストに使用されているESPの作り出す楽器は総じてクオリティは非常に高いものがある。ここまでで売却をお考えの方にはやや悲しい現実をお伝えしたが、購入をお考えの方に取っては非常に良い市場状況だと言える。

ESP楽器のおすすめの購入/売却方法をまとめると、

  • 購入する際は中古楽器店で掘り出し物を見つける
  • 売却する際は個人売買サイトでじっくり粘り強く

オーダーする際はなおのこと、定番モデルを購入する際も一生付き合う相棒としてそのギターと向き合っていただきたい。

※1~9 画像© https://espguitars.co.jp/

参照サイト ESP公式Webサイト

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