Ibanez 特集/コラム

【特集】Ibanezの歴史と特徴を画像付きでまとめて解説

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【スペック&価格ガイド】Ibanezの歴史と特徴を画像付きでまとめて解説

ロンドンではオリンピックが開催され、アメリカでは世界初の量産型自動車としてT型フォードが発売された1908年より創業し110年を超える歴史を持つ楽器メーカーが日本に存在する。

その名は星野楽器、ギターブランドIbanezとドラムブランドTAMAをプロデュースする名古屋の中小企業である。

現存する書店としては名古屋最古の星野書店楽器部として発足し、ギターを始めたばかりの初心者からSteve VaiやPaul Gilbertなどワールドクラスのプレイヤーまで幅広い支持を受ける楽器ブランドの雄である。

今回はそんな日本の誇りともいえるギターブランドIbanezと星野楽器について徹底解明、歴史やメインモデル、使用者、相場感などを紹介させていただく。

Ibanezの歩み

Ibanezの歩み

星野書店楽器部

星野書店楽器部

※1(1930年(昭和5年)ごろの星野楽器店)

時は明治41年、現存する名古屋最古の書店である星野書店が創業、その楽器部として発足し、星野楽器として独立するのは1929年、楽器の輸入行なども行い6年後の1935年より弦楽器の製造をスタートさせる。

そして第二次世界大戦前、当時輸入していたスペインのギタービルダー"サルバドール・イバニェス"の工房がスペイン内戦により廃業、星野楽器が商標を買い取ることとなる。

そうこれこそがIbanezの始まりとなるのである。

ギターブランド"Ibanez"

戦後10年が経過した1955年に現在地である名古屋市東区橦木町へと本社を移転すると、1957年に満を持してIbanezがギターブランドとしてデビューを飾るのだ。

当時のラインナップはエレキブーム最初期に日本で製造されていたビザール系のギターが多く、Jet KingやGoldentoneなどはビザールマニアなら一度は目にしたことがあるのではないだろうか。

Jet King Goldentone

(左Jet King ・右Goldentone)

GuyatoneやStarなどの国産ビザールブランドの輸出もIbanezによって行われており、Ibanezは主に海外に向けたブランドとして活躍するのだ。

Guyatone Star

(左Guyatone・右Star)

そして1963年にはドラムメーカーとしても知られる多満製作所(TAMA)を設立、ちなみに多満は創業者である星野義太郎の妻「多満」に由来している。

シグネチャーモデル発売による躍進

1970年代になるとエレキブーム初期から注力してきた開発と1968年からOEM生産を委託している富士弦楽器製造の高いクオリティにより製作される楽器の評価は高まった。

手形取引などの複雑な商習慣がある日本より海外市場を先に開拓しようという星野義裕会長の発案の基、1972年にアメリカの現地法人HOSHINO U.S.Aを設立、ミュージシャンでマーケティングに秀でたジェフ・ハッセルバーガーを採用すると現地ミュージシャンとの多数のコンタクトと深いリレーションを築くこととなる。

GB10 PS10

※2(左GB10・右PS10)

その結果ジャズギタリストであるジョージ・ベンソンのシグネチャーモデルで小型のフルアコースティックギターの名作GB10や1978年にKISSのギタリストポール・スタンレーモデルとしてPS10"アイスマン"を発表しIbanezの名は世界中にとどろくこととなった。

さらなる飛躍

Maxon OD808・Ibanez TS808

(左Maxon OD808・右Ibanez TS808)

1979年になると商品の幅をエフェクターにも広げ、MAXON製品の輸出版ブランドとしても稼働、チューブスクリーマーシリーズのTS808をはじめとした高品質なペダルはStevie Ray VaughanやGary Mooreをはじめとした多くのギタリストに使用され現在でもワールドスタンダードとして認知されているのだ。

Maxon OD-880 Soft Distortion|マクソン OD-880 ソフトディストーション
Maxon OD-880 Soft Distortion

1970年代に通称"弁当箱"と呼ばれるシリーズで生産され、Charをはじめ数々のギタリストを虜にしたOD-880モデル。 定価 新品価格 中古価格 1978年カタログ ¥11,800 無し オリジナル ...

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1980年代に入るとヘヴィメタルブームのただなかにアルカトラズやフランク・ザッパバンドのメンバーとして活躍していたSteve Vaiのシグネチャーモデルとして"JEM"を発表、同時に看板モデルとなるRGシリーズも発売された。

その後もMr.BigやLacer-XのギタリストPaul GilbertやJoe Satrianiをはじめとする数々のビッグネームとエンドースメント契約を結び現在も多数のシグネチャーモデルを発売している。

もちろん高い楽器の製作技術あってこそではあるが、他ブランドでは例を見ないアーティストたちとのリレーションシップや時代の先を読んだモデルの開発がIbanezを作り上げてきたのである。

Ibanez製ギターの代表モデルと特徴

長い歴史を持つIbanezギターには長年の経験から編み出された多くのこだわりが詰め込まれている。

しかしどのギターも同じ仕上がりならいいわけではなく、ジャンルやプレイスタイルにより必要な落としどころがあるのだ。

ここでは各代表モデルを例にアーティストとの関係や特徴的なスペックなどIbanezの知恵と工夫の結晶をご紹介させていただく。

PS10

PS10

※3

まず紹介しなければならないのが1978年からの長い歴史を持つこのギター、KISSのポール・スタンレーシグネチャーモデル"PS10 Iceman"だ。

まずこの印象的なボディシェイプは当時Ibanezの企画部員が設計したもので、ポール本人が気に入り採用した。KISSの絶頂期に使用したため当時から人気が途切れないモデルである。

独特な形状ながら変形ギターにありがちなプレイ時のバランスの悪さやサスティンの減衰感は非常に少なく、非常になめらかに加工されたネックヒール、60s Gibsonスタイルを彷彿させる薄さと耐久性を考慮して設計された3Pメイプルネックなど実践的なスペックに仕上げられている。

ピックアップはSeymour Duncan製でフロントに'59、リアにCustom 5が搭載されており、コントロールは2ボリューム、1トーンとなっている。

めちゃくちゃカッコ良い。。。

GB10

GB10

※4

こちらはご存じジャズギター界の大御所であるGeorge Bensonシグネチャーモデル"GB10"だ。

ジョージベンソンとIbanezのリレーションは非常に長く1977年にまで遡り、当時大音量でのステージでホロウボディを使用した際のフィードバックに悩まされていたジョージに声をかけたのがIbanezだったのだ。

デザイン学校に通っていたこともあるジョージがスケッチを作成し、Ibanezが最終ディティールを詰め、完成したギターは現在でも多くのプレイヤーが手にするフルアコースティックギターのスタンダードとなったのである。

またGB10以外にもシングルピックアップにフルサイズボディのGB20、2ピックアップのLGB30、アニバーサリーモデルなど多数の派生モデルが存在し、良好なリレーションを感じさせる。

楽器の特徴としてはES-175などと比較してもさらに小ぶりなボディにIbanez GBモデル専用のオリジナルフローティングピックアップ、独特ながら非常に高級感のあるインレイやテイルピース等があげられる。

このモデルを皮切りにJoe PassやPat Metheny、John ScofieldやEric Kraznoなど多数のジャズアーティストモデルを輩出しており、国産のハコモノ界でのトップの座を築き上げたGeorge BensonとIbanezの功績は大きい。

JEM&Universe

JEM

※5

孤高のギタリスト、コンポーザーであるSteve Vaiのシグネチャーモデルとして1985年にデザインされたJEMモデル。

まず目を引くのがボディ6弦側に設置されたモンキーグリップだ。

ただがむしゃらに開けられているわけではなく"ステージアクションで使用するため"に開けられているようだが...あまり使用しているプレイヤーを見たことはないもののルックス的に非常に大きなインパクトとなっている。

兄弟機種RGシリーズ

※6(兄弟機種RGシリーズ)

また1977年に開発された当時先鋭のブリッジであるフロイドローズトレモロやハーフトーン時に自動的にハムバッカーがスプリットされる5wayの配線など、兄弟機種としてFender Stratocasterに次ぐ世界トップクラスのセールスを誇るRGに引き継がれるHR/HMスペックを編み出したのである。

Universe

※7(Universe)

さらにSteve VaiとIbanezのリレーションにより誕生したのが世界初の量産型7弦ギターであるUniverseである。

モンキーグリップはないもののJEMから引き継がれた鋭角なカッタウェイを持つボディデザイン、非常に薄くプレイヤビリティの高いグリップながらメイプル/ウォルナットの5P構造に加えKTS製チタニウムトラスロッドを使用したネックなど洗練されたデザインとなっているのだ。

音楽のみならず教育支援分野を含めた幅広い分野でその才覚を発揮するSteve Vai、そのアイデンティティを余すところなく製品にフィードバックさせるIbanezのコンビネーションがまさに楽器業界のニュースタンダードを作り上げているといっても過言ではないのである。

S Series

S Series※8

本項初のシグネチャーではないモデルを紹介させていただこう。

Sシリーズの原点は1989年、"ボディールーティングのレボリューション"と謳いジョー・サトリアーニ愛用タイプのR、やや厚みのあるボディのP、カミングスーンモデルとして翌年からカタログラインナップに名を連ねるSモデルが掲載されたことに始まる。

フランク・ギャンバレを広告塔に鮮やかな黄、赤、ピンクのフィニッシュをまとった540-S(FGM-100)は当時強烈なインパクトを与えたのではないだろうか。

540-S(FGM-100)

"剣のように鋭くそぎ落としたデザイン"、"ギターそのものが無に限りなく近い"ほど薄いボディシェイプは現在のモデルにも引き継がれ、ネックは11層の木材で製作されるネック厚約20mmの極薄に仕上げられたウィザードネックとともに最高峰のプレイヤビリティを提供し続けているのだ。

ボディの薄さからパワーのないサウンドを想像しそうであるが、ピックアップにDimarzio製Air Norton、True Velvet、The Tone Zoneをチョイスすることと、ボディ中央部に厚みを持たせることで芯のなさや音の散りを防いでいる。

ラインナップ、価格による品質の差は?

ここまででアーティストのリレーションにより生み出されてきた名機や各モデルに対し様々な工夫が施されているのがお分かりいただけただろうか。

本項ではそんな多数のラインナップや価格グレードによる品質などの差を紹介するのだが、まずは各グレードの住み分け一覧をご覧いただきたい。

グレードと特徴
J Custom マテリアルにも加工にも最高のものをとりいれた、国内生産の最高級モデル
Prestige 上位機種として国内生産され、各部調整用の専用マルチツールが付属
Premium アジア製の上位機種で、ハイスペックでありながら求めやすい価格帯を堅持
AXION LABEL モダンで挑戦的なメタルプレイヤーに向けて放つ新シリーズ
IRON LABEL HM/HRに特化した、いかつい外観とサウンド
Standard 標準モデル
Gio "ステージへ最速"をコンセプトとする、楽器をこれから始めるエントリー層に向けたシリーズ

高級アーティストモデルや美しいエキゾチックウッドトップモデルなどは国内工場フジゲンで製造されていることが多く、大手楽器店などの初心者向け楽器コーナーなどで販売されているのGRXなどはインドネシアで製作される。

フジゲン製品に関してはご存じの通り安定感のあるクオリティで、インドネシア製のモデルも自身や工房でセットアップができるのであればクオリティに申し分はない。

筆者が楽器店勤務時代に多数のIbanez製の楽器を取り扱っていたが、国産モデルに関してはばらつきが少なく、音の印象も比較的マテリアルとピックアップのキャラクターによるところが大きかった印象である。

アジア製のものも比較的同じことがいえるが、新品10万円以下のアジア製ギター全般にみられるネックの若干の波うちやねじれはご愛嬌といったところだろうか。

そもそもFenderやGibsonのCustom Shop製品でもほとんどでそれが起こっているため、それがエレキギターだと割り切るのが吉といえよう。

Ibanezの価格相場

買取価格はある程度グレードの高いモデルであっても思っている程高値ではないかもしれない。

大手楽器店であるイシバシ楽器の買取価格と各モデルの定価と中古相場を比較して見てみたのが以下の表である。

RGシリーズのJ CustomとPrestigeそれぞれを例に見てみると、

RG8420ZD J Custom RG2770FZA Prestige
定価¥350,000 定価¥210,000
買取美品
¥130,000
買取美品
¥62,000
中古¥150,000
~¥250,000程度
中古¥70,000
~¥100,000程度

逆に言えば比較的中古時では手ごろに入手できる傾向にあるようだ。

J CustomやPrestigeに関しては製品のランクというよりもそのモデルの人気により中古価格が決まっているという印象を受ける。

また、その楽器店が取り扱う楽器のラインナップにかなり左右されることの多いのも否めなく、RGシリーズやSシリーズなどはHR/HM系楽器を多く取り扱う大手などなら良いのだが、個人経営系の店だと「当店ではこれが限度で...」という前置きを付けつつ少し残念な買取額を提示される場合が少なくないのが現状である。

しかし例外もあり、ASやRSシリーズなどをはじめとする80sのモデル、特に世代の方にわかりやすくお伝えすると"Super '58"ピックアップが搭載されていたモデルであれば当時から考えれば高値で取り扱われるであろう。

一度IbanezのGibson Modernレプリカのモデルを取り扱った際に想像を超える価格で買い取られていたことに驚きを覚えたが、その想像を超える高値で即売していたため国産ヴィンテージブームの脅威を見せつけられたと同時に喜びを覚えた。

ただ現行モデルであっても1908年から続き数えきれない国内外のアーティストに愛用されてきた歴史を持つギターブランドであることに偽りはない。

120年に差し掛かろうとするその歴史に敬意を払い、日本の誇りとしてIbanezを今後も愛し続けていこうではないか。

S Series
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※1~8 画像© https://www.ibanez.com/jp/

参照サイト Ibanez公式Webサイト

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