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【スペック&価格ガイド】ジミヘンモデルを大解説!エフェクター編

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【スペック&価格ガイド】ジミヘンモデルを大解説!エフェクター編

ギターの神様として今なお多くのギタリストを魅了し続けているジミ・ヘンドリクス。

この記事では『ジミヘンモデルを大解説!エフェクター編』と題し、彼の愛用したアイコニックなエフェクターとそれを元に製作されたモデルについて解説をしていく。

『ジミヘンモデルを大解説!Fender編』はこちら
『ジミヘンモデルを大解説!Gibson編』はこちら

特にスタジオ盤、ライブ盤共に音づくりの要となるエフェクター達、是非神の音に近づく手助けとなったら幸いである。

ジミ・ヘンドリックスが使用してきたエフェクター

ジミ・ヘンドリックスが使用してきたエフェクター

(画像参照 https://livemusicdaily.com/2012/07/04/happy-birthday-america/)

ジミは当時のギタリストととしてはかなり多数のエフェクターを使用していた。

中でもファズフェイスはキャリアを通して彼の足元に鎮座し、フォロワーギタリストには必携のアイテムとなっている。

また歪みだけではなく多数のモジュレーションも使用しており、全てのキャリアを通して変化している。

そこでまずは有名なものから効果やサウンドなどを紹介していこう。

Arbiter Fuzz Face

Arbiter Fuzz Face

ジュリアンのオークションハウスカタログJimi Hendrix Arbiter 1967 Fuzz Faceペダル(画像参照 https://www.gearnews.com/jimi-hendrixs-original-67-arbiter-fuzz-face-grabs/)

まずはこれがないと始まらないといっても過言ではないのがFuzz Faceだ。

1966年に発売となったFuzz Faceだが、ジミは1967年に発売となるデビューアルバム"Are You Experienced"のレコーディング以前からFuzz Faceを使用していたといわれている。

Fuzz Faceの回路はTone Bender Mk1.5に酷似しており、筐体もマイクスタンドのフットを流用したものなど、エフェクター創成期のテイストが感じられる。

ジミの晩年まで常に足元に鎮座しているが使われるバージョンや個体は年を追うごとに変わっていくため、ざっくりではあるがバージョンの変遷を紹介しようと思う。

Arbiter Fuzz Face2

(画像参照 https://www.musicradar.com/news/the-history-of-the-fuzz-face)

最初期モデルに当たるのは黒い筐体に"Arbiter-England"の表記が入った個体で、渡英直後に使用されていたと思われるモデルだ。

Arbiter Fuzz Face3

(画像参照 https://www.musicradar.com/news/the-history-of-the-fuzz-face)

トランジスタはゲルマニウムでNKT275が搭載されているものが多く、現行のゲルマ搭載Fuzz Faceクローンといわれるものはこのタイプの回路構成が採用されていることが多い。

Wood Stockなどで使用されていたモデルはそれ以降のもので、前者よりやや角ばった筐体エッジの仕上げ、狭くなったジャックマウント、筐体内部ジャック付近に出っ張りがあるデザインが特徴となっている68年ごろのものと推測される。

また68年にArbiterがDallas社に買収されるため、"Arbiter-England"と"Dallas Arbiter-England"の二つの表記が存在し、トランジスタも以前と同様のNKT275ゲルマニウムトランジスタとBC183LやBC108Cが搭載されたシリコントランジスタが搭載されたものの両社が混在するのだ。

初期デザインに近い黒筐体でもDallas Arbiterロゴが使われている個体なども存在するため他のブリティッシュファズブランドの製品達と同様に筐体やパーツは使いまわしとなっていたといえよう。

ジミが使用していたころの個体以降のスペックの変遷等は割愛させていただくが、現在オリジナルFuzz Faceの値段はNKT275搭載の物であれば40万円前後、シリコンのもので20万円台半ばと非常に高値で取引されている。

高価で数が少ない上に個体差がかなり大きく、使用環境に左右されるため現在でもオリジナルを使用しているプレイヤーは少ないが、太さと存在感は他のペダルには太刀打ちできないまさにオンリーワンな存在のエフェクターといえよう。

Octavia

Octavia

(画像参照 https://www.roger-mayer.co.uk/octavia.htm)

"Are You Experience"の一曲目に収録されているPurple Hazeのギターソロはジミにとってはもちろん、当時の音楽シーンやギタリストに大きな影響を与えた。

このギターソロには現在でもブランドを展開し製品開発を続けているRoger Mayer氏が製作したオクターブファズ"Octavia"が使用され、ジミが「笛かフルートのように聴こえる」という独自のサウンドが世に放たれた歴史的な音源である。

Roger Mayer氏はイギリスのエンジニアで、Electoric Lady LandやRecord PlantスタジオをはじめジミはもちろんRolling StonesやStevie Wonderが使用したスタジオでエンジニアを務めていた。

彼はギター用のエフェクターのみならずスタジオ用マイクプリやコンソール、コンプレッサーなども製作しており、その前衛的な技法により生み出したOctaviaの初号機はJimmy Pageがトライしたものの、ジミ程はインスピレーションを得られなかったようだ。

晩年ではライブでも使用されており、Fuzz FaceとUni-vibeが併用された"極悪トーン"はMichael LandauやDoyle Bramhall IIをはじめとしたヘンドリックスフォロワー達にも引き継がれている。

Shin-Ei Uni Vibe

Shin-Ei Uni Vibe

ヘンドリックスが使用した実際のUni-Vibeペダル(画像参照 https://www.groundguitar.com/jimi-hendrix-gear/jimi-hendrixs-shin-ei-univox-uni-vibe/)

Woodstockでの名演"Star Spangled Banner"、20分を超えるインプロビゼーションを含むワイト島での"Machine Gun"....まるで鼓動のようなモジュレーションを生成していたのが日本発のエフェクターUni Vibeだ。

このエフェクターの由縁を辿るとHoney名義で発売されたPsychedelic Machineのモジュレーション部分を取り出したVibra Chorusに行き着く。

Vibra Chorus

(画像参照 https://reverb.com/au/item/5140123-honey-vibra-chorus-rare-uni-vibe-version)

Vibra Chorusにはフットコントローラーによるレイトコントロールがなく接続できるのは回転のキャンセルのみで、ほどなくしてUni Vibeへの改名時にフットコントローラーによるスピード調整とエフェクトのキャンセルが可能となったのだ。

先進的な機材をリリースしてきたHoneyであったが1960年代後半に解散を余儀なくされ、その業務はUni-Vibeの製造メーカーとして一番名の知られている新映電気(Shin-ei)へと移行されるのだ。

Shin-eiが生産した個体はそれ以前の個体よりもエフェクトのかかりが深く、フットコントローラーの滑り止めラバーが細いもの2本から1本の大きなラバーへと変更されているのが特徴だ。

ジミ自身が使用していたのはHoney期の個体とされており実際にFuzz Faceやアンプの歪みにより揺れが増強されることを考慮すると納得ができるが、構造上非常に個体差の大きいエフェクターとしても知られているためあらゆる観点から全く同様の効果を得るのは非常に難しいであろう。

VOX V847 & Jen Cry Baby

ジュリアンのオークションハウスカタログJIMI HENDRIX WAH-WAH PEDAL

ジュリアンのオークションハウスカタログJIMI HENDRIX WAH-WAH PEDAL(画像参照 https://www.julienslive.com/m/lot-details/index/catalog/26/lot/7126/JIMI-HENDRIX-WAH-WAH-PEDAL?url=%2Fm%2Fsearch%3Fkey%3D%26cat%3D863)

最後に紹介するのはVoodoo Child Slight Returnのイントロでの使用が一番印象的なワウペダルである。

ジミがワウペダルを使用し始めたのは1967年と言われており、VOX V847からCry Babyなどを含め常にワウペダルが鎮座しているが、当時のワウペダルはポットをはじめとした電装系の耐久性が非常に低いため頻繁に買い替えていたと考えられる。

VOX Wahに関しては当時の写真やライブ映像での登場率が高くフェイバリットだったのであろう、Uni-Vibeが導入されたのとほぼ同時期から晩年までV847が使用されている。

ジミが使用していたWahにはほかのペダルと同様にRoger Mayer氏によるモディファイが施されていたという説もあり、FulltoneやRMCなどのハイエンドワウにはそれにならったアウトバッファーが搭載されることとなったのだ。

現行シグネチャーで再現するヘンドリックスサウンド

前項ではジミ本人が使用してきた主要なエフェクターを紹介した。

とはいえ個体差や使用環境などにより挙動が変わるエフェクターが多く、本人の使用方法まで研究しないことにはそのサウンドを得ることはできない。

しかし逆を言えば使用方法さえ考慮すれば現行ラインナップであっても彼のサウンドに近づけることができるのだ。

そこで比較的お手ごろかつイージーに入手できることで定評がある、Jim Dunlopのジミヘン・シグネチャーモデルを紹介していこう。

Jim Dunlop JHF1 Jimi Hendrix Fuzz Face

Jim Dunlop JHF1 Jimi Hendrix Fuzz Face

JHF1 Jimi Hendrix Fuzz Face:定価¥18,000 + 税

JH-F1はディスコンになることが多いシグネチャーペダルには珍しくかなりのロングセラーを続ける名機である。

このモデルはジミが晩年使用していたシリコントランジスタ搭載のDallas Arbiter製Fuzz Faceを再現しており、BC108を2基使用した荒々しいサウンドが特徴となっている。

湿度や気温に左右されやすいゲルマに比べ比較的動作が安定しており、出力が大きいためゲインを絞った状態でもブースター的使用が可能となっているのも特徴だ。

現在Jim Dunlopでは複数の亜種モデルも生産されており、サーキットはJH-F1と同様ながら筐体がサイズダウンされたFFM3や、よりアグレッシブなBand Of Gypsys時代のトーンを狙ったFFM6モデルも入手可能だ。

Jim Dunlop JHW1 Authentic Hendrix '69 Psych Series Fuzz Face Distortion

Jim Dunlop JHW1 Authentic Hendrix '69 Psych Series Fuzz Face Distortion

JHW1 Authentic Hendrix '69 Psych Series Fuzz Face Distortion:定価¥15,000 + 税

イギリスのデザイナーグループ"ILOVEDUST"によるサイケデリックなアートワークが印象的なAuthenticシリーズのFuzz Face Distortionだ。

MXR Phase 95などと同じサイズ感のコンパクトな筐体で製造されているが、ゲルマニウムとシリコンのトランジスタ切り替えスイッチも搭載したメーカーの気合が感じられる製品に仕上がっている。

また兄弟機種である108 Classic Fuzz同様ワウペダルとのインピーダンスマッチングが考慮されたバッファーのOn/Offも選択可能で、即戦力としてボードに新たに組み込みやすいペダルであろう。

Jim Dunlop JHW2 Authentic Hendrix ’69 Psych Series OCTAVIO Fuzz

Jim Dunlop JHW2 Authentic Hendrix ’69 Psych Series OCTAVIO Fuzz

JHW2 Authentic Hendrix ’69 Psych Series OCTAVIO Fuzz:定価¥15,000 + 税

世界限定1500台生産されたJHM6 Octavioをベースに上記モデル同様コンパクト化とアップデートを加えたJHW2。

サイケデリックなアートワークと現代のボード事情に合わせた筐体はもちろんのこと、オクターブ成分のOn/Offが可能で通常のFuzzとしての使用も可能となっている。

金切声のようなアッパーオクターブファズサウンドはもちろんのこと、ボリュームを絞った際のゲート感あるサウンドまでもが再現されており、常用できるペダルではないかもしれないがここぞの飛び道具としての大きな活躍が期待できるのではないだろうか。

Jim Dunlop JHW3 Authentic Hendrix ’69 Psych Series UNI-VIBE Chorus/Vibrato

Jim Dunlop JHW3 Authentic Hendrix ’69 Psych Series UNI-VIBE Chorus/Vibrato

JHW3 Authentic Hendrix ’69 Psych Series UNI-VIBE Chorus/Vibrato:定価¥15,000 + 税

最後に紹介するのはAuthenticシリーズ唯一のモジュレーションペダルUni-Vibeだ。

※MXRブランドからもM68 Uni-Vibeが発売されておりほとんど同じ機能がノックダウンされているためChorusモードではフェイズ感のある揺れ、Vibeスイッチをヘンドリックスのライブでおなじみの鼓動のようなビブラートが味わえる。

※MXRは1987年にJim Dunlopに買収された。

またVibe系のペダルでこのサイズだと1ノブのペダルが主流となっており、ボードへの組み込みやすさを考慮した大きさで細かに音質の調整が可能なのはJHW3ぐらいといっても過言ではない。

もしお持ちのボードの小さな隙間をサイケデリックへの扉へと変えたいのであれば、ベストな選択肢になってくるであろう。

JIM DUNLOP JH-1D JIMI HENDRIX CRY BABY WAH

JIM DUNLOP JH-1D JIMI HENDRIX CRY BABY WAH

JIM DUNLOP JH-1D JIMI HENDRIX CRY BABY WAH:定価¥16,500 + 税

最後に紹介するのはジミが67年のデビュー時直後に使用していたイタリアJen製のWahを再現したJH-1D Cry Babyだ。

ブラックイタリアン・クリンクル・フィニッシュのアルミ筐体、筐体底面の白いラインなど当時のスペックが再現されており、底面にはジミの肖像画が描かれている。

基盤やインダクターは通常のCry Babyに似たものが使われているが、特に歪みと合わせた時の音色の良さからこちらをチョイスするプレイヤーも少なくない。

意外なところではZakk Wildも自身のシグネチャーモデルが登場するまで使用しており、現在でも人気が高い機種である。

【スペック&価格ガイド】ジミヘンモデルを大解説!エフェクター編Jim Dunlopのジミヘンモデルを
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まとめ~現行機種でジミのサウンドを再現するコツ~

この記事ではでジミが使用した実際の機材や、そのリイシューでかつ比較的手ごろなプライスのJim Dunlopのジミヘン・シグネイチャーモデルを紹介した。

リイシューモデルに関しては中古市場でも比較的見かけることが多く、今回紹介したモデル以外でも彼の名を冠したペダルは多数存在するのでいろいろな個体を試していただくことをお勧めする。

最後になるがいくつかジミのサウンドに近づくためのセッティングを紹介したいと思う。

まず一つ目はアンプのセッティングだ。

ジミがライブで使用していたのは1959SLなどPlexiの100wモデルだ。

復刻モデルのサウンド・キャラクターが先行し、オリジナル期の1959SLも非常にブライトなアンプのイメージを持たれることが多いが、実際に60年代の個体を弾いてみると驚くほどダークでBrightチャンネルでもJCM900よりハイが出ないようなアンプなのだ。

貼りメイプルのストラトと現行のマーシャルでジミのサウンドの方向に近づけていくのであればTrebleとPresenceはいつもより下げておくのが鉄則といえるだろう。

ちなみにスタジオ版では直接コンソールにギターを繋いだであろうサウンドとFenderアンプと予想される音が非常に多いため、ライブ版と比較するとサウンドの違いが顕著に現れている。ジミのサウンドを追うのであればライブ版音源を参考にした方が再現性の高いサウンドに出会いやすい。

1970年8月30日のワイト島フェスティバルでのパフォーマンスを収めた「Blue Wild Angel」は必聴アルバムである。

二つ目はエフェクターの接続順だ。

ネット上では"WahとFuzzのインピーダンスのミスマッチングによる発振を解決するためWah→Univibe→Fuzz Faceの順で接続されている"など多数の憶測によるガセネタが流れている。

実際にジミのライブ盤を聴いたことのある方はもうお分かりだろうが、WahとFuzz Faceを同時に使用している際は発振しているし、スローブルースナンバーでWahをかけたソロを弾く際はFuzzをオフにしたPlexiの歪みを使用している場面が多い。

Jimi エフェクターの接続順

画像でもケーブルをたどっていくとWah→Fuzz Face→Uni-Vieのことが多いため参考にしていただきたい。

しかしDoyle BramhallのようにあえてVibe PedalをFuzzの前につなぐプレイヤーも多く、この場合だとVibeをOn/Offした際のレンジ感があまり変わらないため実用的ではある。

最後のまとめがやや長くなってしまったが、この記事で書かせていただいたエフェクター選びやセッティングのコツなどがあなたのサウンドメイクのお役に立てれば幸いである。

半世紀以上も経ってなお色褪せることはなく輝き続けるジミ・ヘンドリクス。永遠のギターヒーローとして今後も多くのフォロワーを生み続け、語り継がれていくことだろう。

以下の2つの記事ではギター編を徹底解説しているので気になる方はこちらの記事も合わせてチェックしてみて欲しい。

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参照書籍:ジミヘンドリックス機材名鑑/マイケル・ヒートリー箸

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