Nash Guitars 特集/コラム

【特集】Nash Guitarsの歴史と特徴を画像付きでまとめて解説

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【スペック&価格ガイド】Nash Guitarsの歴史と特徴を画像付きでまとめて解説

ヴィンテージ楽器を再現し、新品時から歴戦のオーラをまとった"エイジドギター”。

数々のアーティストやコレクター、近年では楽器量販店でも必ずストックされているほどのブームとなったが、その"エイジドギター”人気の火付け役となったブランドをご存知だろうか?

この記事ではギター業界に彗星の如く現れた「Nash Guitars」の歩みと楽器の特徴、さらには価格相場にまで言及しその魅力を紐解いていく。少々長くなるが最後までお付き合い頂けたら幸いである。

Nash Guitarsの歩み

Mr.Bill Nashのキャリアスタート

Mr.Bill Nashのキャリアスタート

(画像http://guitarism-tr.blogspot.com/2011/12/bill-nash-interview-2011.html)

Nash Guitarsの創始者Bill Nashはミュージシャンの父を持つ音楽一家に生を受け、幼少の頃よりロックやブルース、それらを奏でるギターサウンドに身近に触れる環境に育った。

その影響もあり1980年代にはBill自身もバンドのギタリストとしてプレイをするようになったが、苦しくもその頃に使用していたフェンダーやギブソンが作り出すギターはお世辞にも良いものとは言い難く(70年代後半から80年代にかけてフェンダーやギブソンは量産化を推し進めたが質が伴っていなかった。そのためこの頃は暗黒期と評されることが多い。)、自分の使用するギターのサウンドや弾き心地をより理想的なものとするために15才の頃から自身のギターのピックアップを交換したり塗装を塗り直したりとモディファイを施すようになっていく。

それから年を重ね、ビジネスマンの職に就き15年位経ち普通のビジネスマンではなく自分の手を使って好きな仕事をしたいとギタービルディングの仕事を始め、中古ギターの組み込み直しやフィニッシュを変えるなどからビジネスを始め、2001年に「Nash Guitars」を創設する。

”エイジドギターブランド"としての始まり

”エイジドギターブランド"としての始まり

(画像https://www.cutawayguitarmagazine.com/bill-nash-nash-guitars/)

Nash Guitarsがカスタムギターを作り始めた頃は"エイジドギター”という概念が少しずつ市場には浸透し始めた頃であったがその需要はまだまだ少なかった。そのため創設当初は他のブランドと同様にいかにも新品というような艶やかで光沢のあるルックスの楽器を制作している。

”エイジドギターブランド"としての始まりはひとつのアクシデントがきっかけであった。

ある日、クライアントのために製作していたピカピカのギターを自らのミスで塗装を傷つけてしまう。ふとその時に少年時代にモデルカーやモデル飛行機にエイジング加工を施し、古びた様子や傷ついた風合いを再現して楽しんでいたことを思い出す。その後、少年時代のように自分が楽しむ目的でギター全体に傷やリフィニッシュ加工などを施しヴィンテージ風仕上げにして売り出したところ驚く速さで売れてしまったのだ。

1990年代から2000年代にかけてヴィンテージギターの価格高騰が起こる最中、Nash Guitarsは”エイジドギター”という新たな可能性への挑戦を始めたのであった。

ノーエンドーサー、それでも広まったネームバリュー

ノーエンドーサー、それでも広まったネームバリュー

※1

現在、Nash Guitars製の楽器は数えきれないプレイヤーにより所有されている。

その中にはKeith Richards、Noel Gallagher、Bruce Springsteen、Coldplay...まだまだ数えきれないほどのビッグネームにより使用されているものの、最も驚くべき事実はその中にエンドーサー契約がされているギタリストが存在しないことだ。

彼らアーティストやエンジニア、ギターテックが"実際に購入して使用している”のである。

これはまさに「3時間のショウを確実なチューンでこなせる楽器」を信条に生産されてきたNashの真の価値を表した結果ではないだろうか。

Nash Guitarsの人気モデル

ここからはNash Guitarsを代表する人気モデルを紹介していく。

Nash Guitarsはオールド・フェンダー・スタイルを踏襲しているが、ただのヴィンテージギターの再現に囚われないからこそ出来上がった人気モデルを是非チェックしていただきたい。

S-63

S-63

※2

ローズ指板にスモールヘッドを採用したオーソドックスなストラトキャスタータイプ。

63年スペックと思いきやスラブ張りローズ指板が採用されており、若干出力を上げたピックアップをレギュラーとして搭載、やや太めのシェイプのネックと相まってファットなサウンドが特徴だ。

T-52

T-52

※3

メイプルワンピースネックを採用した50'sブラックガード仕様のTLモデル。

ヘヴィーなエイジドと組み合わせることでリアルヴィンテージさながらの迫力を演出するもよし、フロントハムバッカーとゴールドパーツで"あの一本"らしさを出すもありと、シンプルなモデルならではの魅力が楽しめる。

JM-63

JM-63

※4

創設当初はNashの水準を満たすことができず廃盤となっていたモデルが満を持して復活。

演奏性を向上させるためネックジョイントにわずかな角度をつけ、指板Rに合わせたTunamaticタイプのローラーブリッジ、バズストップテンションバーを採用することで、テンションや弦落ちの問題も解決でき晴れてラインナップに返り咲き、Noel Gallagherにも愛用されている。

リアとフロントで出力を変えた専用PUによるバランスが良く骨太なロックサウンドが特徴だ。

T-2HB

T-2HB

※5

テレキャスターシェイプをベースに2Hピックアップ構成を採用したモデルで、
ハーフテレブリッジを搭載しオプションでLollartron Pickup等を選択することもできる。

エイジド具合やスペックを合わせれば、"JB"を彷彿とさせるモデルも再現できるのではないだろうか。

S-68HX

S-68HX※6

ジミ・ヘンドリックススタイルの左利きストラトキャスターを右用にセットアップしたモデル。

Relicを右利きに合わせるか、左利きに合わせるかなど様々なバリエーションが楽しめる機種だ。

ハイクオリティのスペック群

Nash Guitarsの楽器はFender製の楽器をもとに製造されているが、ただエイジングが施されただけでその看板を背負っているわけではない。

ここではプレイヤビリティやサウンドを第一に考慮したNash Guitarsが採用しているこだわりの共通スペックを紹介しよう。

TUSQ製ナット

TUSQ製ナット

牛骨をはじめとした自然素材を採用するブランドが多い中、Nash Guitarsでは不協音を伴わずリッチな音色とサスティンを持つTUSQ製ナットが使用されている。

それほど目立ったパーツではないながら"可能な限りゼロフレット付ギターのようにローフレットも軽くプレイでき音程が正確であるようにする"というアプローチの下、溝の切り方などにこだわって成形されたナットはNashの高い品質水準を示す一つのファクターと言えよう。

指板

指板

Fender同様にヴィンテージに忠実な7.5Rを採用するブランドが多い中、プレイヤビリティを考慮した10R(JMタイプは12R)が採用されており、フレットも基本的に6105サイズを採用したモダンスペックとなっている。

しかしあくまで基本スペックとなっており、モデルやオーダーに応じて変更が可能となっている。

ジョイント部

オープンかつオーガニックなサウンドを得るため、ネックポケットにはあえてセット角調整用のシムが挟まれている。

スペーサーは楽器の音質改善によく使われる手法であり、"外してもFender同様の調整幅に仕上げられている"との公式アナウンスからは調整幅が広くとられていることがわかる。

ボディ

ボディ

基本的には2ピースのボディ材が使用されており、個体によって一番鳴りの良い組み合わせで選択される。

重量2.4kg以下のものしか使用しないというレギュレーションや木目の良しあしなど様々なふるいにかけられ、基準を満たさないものは一切使われない。

フィニッシュ

フィニッシュ

塗装はニトロラッカーを用いて行われ、エイジングレベルはLight、Medium、Heaveyの3段階とオプションのExtra-Heavyが選択できる。

ナッシュギターではLightAgedでもFenderのRelicと同程度となっており、エイジド以外のフィニッシュはしていない。

当時の再現にはこだわっておらず、あくまで“サウンド”と“フィーリング”にこだわって製作されるため、ウェザーチェックも入らない程に薄い塗装が採用されている。

ピックアップ

ピックアップ

ピックアップは基本的にNashguitars用に設計された“Jason Loller”ハンドワインディング・ピックアップが搭載されている。

オプションで
“LindyFralin”や“SeymourDuncan”、“DiMarZio”が選択可能で、その他アッセンブリにもCST、CRL、Switch Craft、Orange Drop等信頼性の高いパーツが使用されている。

Nash Guitarsの特徴

スペックや各ベーシックモデルについて紹介させて頂いたので、ここからは筆者が抱くNashの特徴について少々触れていく。

Nashのギターについては出荷時に独自のセットアップが施されており、比較的音に関してのばらつきは少ない印象だ。

しかし国産楽器のように精密な組み込みがされているわけではなく、良い意味で”アメリカン"な雑味を含んだ鳴りが特徴である。この辺りは古き良きフェンダーに繋がるだろう。

ルックスは同じものが二つとしてないため、エイジドの仕上がりや色味、ネックシェイプやエレクトロニクスまで選択肢が多い。他メーカーでは叶わない自分の理想にかなり近い楽器との出会いの探求も楽しめる。

トータルの基準が非常に高い楽器なので、迷ったらより個性的な個体をピックするという手段を心からおすすめしたい。

Nash Guitarsの価格相場

国内での新品取扱店が少ない割には球数が多いため、新品、中古どちらも比較的値段が吊り上がらずに安定している状態といえよう。

新品では30万円台前半、中古では20万円を切る価格帯とエイジドギターでは比較的安価で手に入るため、エイジドギターの入門編として、また良質なFender系楽器がほしいユーザーには良き選択肢となるはずだ。ワンオフスペックの多いブランドのためドンズバの気に入ったモデルを発見したのなら即決がマストである。

売却時にも市場が比較的安定しているためコンディションさえキープできれば、そこまで買取価格が暴落することはないだろう。

まだエイジドギターを手に触れたことのないあなたにもこの妙味を是非とも味わって頂きたいものである。

※1~6 画像© https://www.nashguitars.com/

参照サイト Nash Guitars公式Webサイト

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