Rickenbacker 特集/コラム

【特集】ビートルズが愛したリッケンバッカーまとめ

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ビートルズが愛したリッケンバッカーまとめ

リッケンバッカーを語る上で最も重要なバンドと言えば誰もがビートルズと答えるのではないだろうか。ビートルズとリッケンバッカーが生み出した1960年代サウンドとバンド像はその後に世界を席巻することになるロックへと変遷していく過程の中で重要な役割を果たした。

1940年代以降メディアはラジオからテレビへと移行していき、情報は音声と映像が合わさり人々に新たな娯楽を与えた。ビートルズは一家に一台のテレビを備え始めたテレビ黎明期における恩恵を一番に享受したバンドとも言える。

リバプール出身の若者たちがリッケンバッカーを抱え軽快にロックンロールをしている姿はテレビを通して世界各地の人々のもとへ届けられ熱狂の渦を巻き起こし、そして多くのフォロワーを生み出していく。

ジョン・レノンの325、ポール・マッカートニーの4001S、ジョージ・ハリスンの360/12は唯一無二のロックアイコンとして色褪せることなく人々の脳裏に焼きつき、現代でも伝説として語り続けられている。

本記事ではビートルズに愛されたリッケンバッカーの詳細をエピソードやスペック比較などを交えつつ解説していくこととする。

ジョン・レノン

ジョンレノンとリッケンバッカー

ジョン・レノンはビートルズデビュー前から中期にかけて325をメインギターに使用していたことはビートルズファンの方には既に知れたところだろう。そのキャリアの中で4本の325モデルを手にしている。

1958年製325、1964年製325、1964年製325/12、ローズ・モーリス1996。

1958年製325

ジョン・レノン 1958年製325

ビートルズはデビュー前の1960年にドイツ・ハンブルグ遠征を行う。前身のクオリーメンというバンド名からあえて綴り違いの「The Beatals」と改名したのもこの頃だ。後に「The Beatles」としている。

人気ジャズ・ギタリストでありハーモニカ奏者でもあったトゥーツ・シールマンスの使用するリッケンバッカーに憧れていたジョンは、ハンブルグの楽器店で売れ残りのリッケンバッカーを見つけすぐさま入手した。その時入手したのが、「ノッカー」の愛称で親しまれ現在でも伝説的なロック・アイコンとして語り継がれる1958年製325である。

ジョンの入手した1958年製325は初年度に325本のみ制作された初期ロッドのうちの1本である。

メイプルグローカラー、約43mmの厚めのホロウ構造ボディ、20.75インチショートスケールネック、グローバー製Sta-Taitペグを備えた大きめのヘッドストック、3基のトースターピックアップ。そしてリッケンバッカーとライセンス契約を交わしていたドク・コフマンにより開発されたギター初のビブラートシステムであるコフマン・バイブローラを備えていた。

1958年製325は後にジョンの好みに合わせて改造されていくこととなる。ビブラートにはビグスビーB-5に交換され、蝶型アルミブリッジ、アルミノブ(ヘフナーのノブにしていた頃もある)、白ピックガードに交換、ブラックにリフィニッシュされ後にカジノやJ-160Eと同時期に剥がされることとなる。

ジョンにとってはもちろんのこと、ビートルズが奏でるサウンドには欠かせない存在と言える1958年製325は、ジョンのキャリアと合わせるように姿形を変え、その活動や音楽性の変化を体現していったギターであった。

ジョンは後のインタビューにて「最も大切な宝物は?」との問いに「初代のリッケンバッカーのギターさ。」と答えている。

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1964年製325

ジョン・レノンと1964年製325

(左画像1958年式・右画像1964年式)

ジョンはビートルズデビュー前のハンブルグ期から1958年製325を使用していたが、1964年に放送されたアメリカのTV番組「エド・サリバン・ショー」では、ジョンのもとに届いたばかりの1964年製325を初披露し、それ以降ではこの1964年製がメインとなる。

ジョンのもとに届けられた1964年製325は通常のカラーラインナップには無かったジェットグロー(ブラック)カラーで、これはジョンの意向を反映させ特注で製作したものである。それまでメインで使用した1958年式と比較すると、薄いボディ、小さくなったヘッドストック、2層の白ピックガード、バランス・ノブ、ミキサーコントロール、板バネ式アクセント・ビブラート・ユニットと新スタイルを備えた仕様を採用していた。

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1964年製325/12

1964年にジョン特注モデルの1964年製325/12がジョンのもとに届いた。シリアル番号は上述の1964年製325と33番しか離れておらず、ほとんど同じ時期に完成したと思われる。仕様はテールピースと12弦ヘッドストック以外は1964年製325全く一緒であった。

モデル名が325/12となってはいるが、板バネ式アクセント・ビブラートは付いていないため本来であればモデル名320/12となるはず。現在リッケンバッカー社のオーナーであるジョン・ホールは後のインタビューにて「制作当初ではビブラート搭載のつもりであったが、ビブラートを使用すると複弦のチューニングが狂ってしまうためそれを断念した」と語っている。

メインの1964年製325に比べてあまり使用する機会は無かったようで、主にサブとしてスタンバイさせていた。1964年6月に行われたオランダのテレビ番組では1964年製325/12を演奏をしている貴重な姿を見られる。

ジョン・レノンと1964年製325/12

さらに、アルバム『ビートルズ・フォー・セール』に収録の「エブリ・リトル・シング」で貴重な325/12サウンドを聴くことができる。

1964年製ローズ・モーリス1996

ジョン・レノンと1964年製ローズ・モーリス1996

1964年末から1965年始め頃にリッケンバッカーのイギリス代理店であったローズ・モーリス社から1964年製ローズ・モーリス1996がジョンへ贈られた。

ローズ・モーリス社はイギリス市場向けに製作されるリッケンバッカーのラインナップを改称しモデル名は「199X」とする。カラーはファイヤーグローカラーに統一し、ホロウ構造のモデルは全てにFホールが空けられた。以下のように末尾一桁目の番号はモデルにより変わる。

・330/12モデルは「1993」
・615モデルは「1995」
・325モデルは「1996」
・335Sモデルは「1997」
・345モデルは「1998」
・4001Sモデルは「1999」

ジョンはメインであった1964年製325を修理している間のごく短い期間でのみ1996を使用している。その後リンゴ・スターに譲られ、現在でも所有しているという。

ポール・マッカートニー

ポール・マッカートニーと1964年製4001S

1964年製4001S

ポールは1965年に1964年製4001Sを入手し、そのキャリアの中で幾度か手を加えながら現在でもライブで使用している。4001Sモデルは当時一般的な4001モデルとは若干異なり、イギリスへの輸出用に製造された特別仕様のモデルである。4001Sは輸出用モデル名は1999と呼ばれ、2ピックアップ/バインディング無しボディ/ドット・ポジションマークと4000モデルと4001モデルの中間的なデザインが採用されていた。さらに左利きであるポールの使用する4001Sは左用のボディと右用のヘッドストックが組み合わされた特別仕様であった。

それまでヘフナーのヴァイオリン・ベースをメインに使用していたがビートルズ中期から後期にかけてはこの4001Sが多用されていくこととなる。1966年に発表されたアルバム『リボルバー』収録の1曲目「タックスマン」の冒頭から聴こえてくる中高域がハッキリしながらも粘っこく唸るサウンドは、これぞリッケンバッカー・ベースの真骨頂と言えるほどのインパクトである。

ポール・マッカートニーと1964年製4001S

入手当初はFiregloカラーであったが、映画「マジカル・ミステリー・ツアー」の頃にはサイケデリックカラーに、1969年には剥がしナチュラルと手が加えられている。

そしてWings時代にはハイゲインピックアップに変更(後にホースシューピックアップに戻る)/四角いマウント・リングへ交換/ピックガード交換/ボディリシェイプ/0フレット仕様と、ポールの音楽性とキャラクターが変化していく様子が4001Sにも色濃く表れている。

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ジョージ・ハリスン

ジョージ・ハリスンと1963年製360/12

ジョージ・ハリスンはビートルズ時代に2本の360/12モデルと425モデルを手にしている。

1962年製425

ジョージ・ハリスンと1962年製425

ジョージは1963年の休暇中アメリカに住む姉のもとに遊びに行った際に、彼にとって最初のリッケンバッカーとなる1962年製425を入手した。ジョージはジョンが使用する黒の325と合わせるためにもともとはファイヤーグローカラーであった425を購入と同時にブラックへ塗替えている。

クレスティング・ウェイブと呼ばれる波型カッタウェイが施された独特な形状をしたスモール・ソリッド・ボディにラージ・ピックガード、トースターピックアップを1基のみ搭載。ビブラートが無いため本来であればはモデル名は420とされるところだが、425が発表された1958年頃にはまだモデル名のルールが確立されていなかったようだ。1964年以降ではビブラート付きには末尾に5が付けられるのが徹底されていく。

ジョージはアメリカで入手したこのギターを溺愛しており帰国後のTV収録にてすぐに使用するがその後の使用機会は少なく、まもなく手に入れる1963年製360/12にその座を譲ることとなる。

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1963年製360/12

ジョージ・ハリスンと1963年製360/12

1964年、すでにヨーロッパで人気を得ていたビートルズは初となるアメリカ公演を行いスターダムを駆け上がる真ただ中にいた。このアメリカ遠征の際にジョージは1964年製360/12を手に入れる。

イギリス帰国後に制作されたアルバム『A HARD DAY’S NAIGHT』にてジョージはすぐさま収録曲の大部分で1964年製360/12を使用し、同時に製作された映画では1964年製360/12を演奏するジョージの姿をたっぶりと堪能することができる。

ジョージの奏でる12弦ギターは各曲のイントロや間奏で独特な鐘の音サウンドをもたらし、それまでに誰も聴いたことが無かったユニークなそのサウンドはエレクトリック12弦ギターの存在を世界中に知らしめることになった。

ジョージとリッケンバッカー・360/12の出会いはその後のポップ/ロックシーンにも計り知れない影響を与えたことは言うまでも無い。

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1966年製360/12

ジョージ・ハリスンとリッケンバッカー360/12

(左から1963年製360/12・1966年製360/12)

ジョージは1965年に再び行われたアメリカ遠征の際にラジオ局WDGYとミネソタ州の楽器店であるB・シャープ・ミュージックから1966年製360/12を贈られる。このイベントは販促キャンペーンとして企画されたもので贈呈の様子は地元マスコミによって大々的に伝えられている。

ジョージが受け取った新しい2代目1966年製360/12はボディ形状が丸いラウンドシェイプとR型テールピースを搭載しているのが特徴的である。1964年以降360シリーズはに330シリーズとの差別化を目的とした大幅モデルチェンジが行われた。

1965年終わりから1966年までライブやレコーディングで使用され、1966年に行われた日本公演でも使用されている。

ジョージの独特な音楽的アプローチとリッケンバッカー・360/12が生み出した名フレーズの数々は1960年代を代表するサウンドとして広く認知され、後に続くの多くのギタリストの憧れとなった。そしてリッケンバッカー・360/12はエレクトリック12弦ギターの代名詞として現代に於いても確固たるポジションを不動のものとしている。

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リッケンバッカーのシリーズについて

300シリーズ

リッケンバッカー・300シリーズとは同社のホロウ・ボディ構造を持つギターのシリーズである。ボディ形状やピックアップレイアウト、トレモロの有無により3XXと2桁目からのナンバーが変わる。

リッケンバッカーのホロウ・ボディの織りなすトーンは’60年代のミュージックシーンを象徴するサウンドとして欠かせない。ジョン・レノンの325、ジョージ・ハリスンの360/12、ピート・タウンジェントの1998(345)、ロジャー・マッギンの360/12など、偉大なギタリスト達はリッケンバッカーを選び、至高のサウンドを生み出していった。

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4000シリーズ

4000シリーズはリッケンバッカー社のエレクトリックベースモデルとして展開されているモデルシリーズである。初代モデルである4000が1957年に発表されて以降、1961年にはポール・マッカートニーの使用で有名な4001、1975年には4001のデラックス版である4002が発表される。1979年以降では4001に置き換わり改良モデルである4003が登場した。現代のリッケンバッカー・エレクトリックベースのラインナップは4003・4003Sのみとなっている。

モデルごとにピックアップレイアウトや各マテリアルの若干の違いはあるものの4000シリーズのデザインは一貫しており、一目でそれとわかる独特の流線型を描いたボディと波状のヘッドストックが大きな特徴である。

その他にもメイプル材のボディ&バック、ローズウッド指板、スルーネック構造、20フレット、Schaller製マシンヘッド、コンビネーションテールピース/ミュート付きブリッジなどが4000シリーズの伝統的なスペックとして挙げられる。

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リッケンバッカーの歴史まとめ

リッケンバッカーの歴史は1931年にアドルフ・リッケンバッカー、ジョージ・ピーチャムらがロサンゼルスにて楽器・アンプを製造する目的で創設したロー・パット・イン・コーポレーションに始まる。1932年世界初のエレキギターである「フライングパン」を発表し、現代に続くエレキギターの基礎を作った先駆的な存在であった。

その後1934年にエレクトロ・ストリング・インストゥルメント・コーポレーションと改名し、同社で製造されるギターをアドルフ・リッケンバッカーの従兄であり空軍の勇士として既に有名であったエディ・リッケンバッカーの名にあやかり「リッケンバッカー・エレクトロ」のブランド名で展開していく。

1953年F.Cホールの会社であるラジオ・アンド・テレビジョン・イクィップメント社によって買収。

1964年に現在の社名であるリッケンバッカー・インターナショナル・コーポレーション(リッケンバッカー社)に改名される。

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1960年代から1970年にかけて音楽界は巨大な変革期を迎え、その後に続くRockムーブメントへ変化を遂げる過程の中で先人達による様々な実験が行われてきた。 近代音楽の礎を築いたと言っても過言では無い ...

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