Tom Anderson 特集/コラム

【スペック&価格ガイド】Tom Anderson Guitarworksの歴史と特徴を画像付きでまとめて解説

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【スペック&価格ガイド】Tom Anderson Guitarworksの歴史と特徴を画像付きでまとめて解説

Tom Anderson Guitarworks。1980年代中期にガレージメーカーとして生まれ、CADルーターを使用した高精度な加工、バズフェイトンチューニングシステムやオリジナルピックアップなど、ギタリストの厳しい要求に応えるべく研ぎ澄まされたギター群は現在「この星で最高のギター」の異名を持つに至る。

この記事では「Tom Anderson Guitar」の歩みや特徴、代表的なモデルを深堀し、さらに価格相場にまで言及しその魅力をたっぷりとお伝えしていく。 少々長くなるが最後までお付き合い頂ければ幸いである。

まずはその歴史をたどっていくことにしよう。

Tom Anderson Guitarworksの歩み

楽器製作との出会い

楽器製作との出会い(創設者トム・アンダーソン氏)※1

1970年代、LAにてミュージシャンとして生計を立てていたTom Anderson氏は「妥協することのないギター」を求め、プレイヤーからビルダーへの方向転換を決意。1977年からシェクター社のビルダーとしてキャリアをスタートさせる。

シェクター社で着実に技術を磨き数多くのギターを製作する毎日であったが、1984年にヘッジファンドによりDave Schecter社長が解雇されたのがTom Anderson氏にとって大きな転機となる。

「やりたいことがあるのなら独立しろ。」Dave Schecter社長のこういったアドバイスもあったことから他の従業員とともに独立を決意。ギター業界に旋風を巻き起こすことになるTom Andersonブランドの幕開けである。

Tom Anderson Guitarworksを設立

Tom Anderson Guitarworksを設立

※2

独立当初はメーカー下請けの楽器製作が主体となっており、その顧客はPensa、Sadowsky、James Tylerなど、後にハイエンドと呼ばれるギターを作り上げる若かりし頃のクリエイターたちであった。

特にJames Tylerの代表モデルであるStudio Eliteに搭載されるリズム/リードサーキットは、スタックピックアップ(積み上げ式ピックアップ)を作り上げたTom Andersonの力無くしては生まれなかった仕様であろう。

規模拡大、カスタムギターブランドへ

規模拡大、カスタムギターブランドへ

※3

1970年代にミュージシャンとして生計を立てていたTomにとって美しいデザイン、リッチなトーン、弾きやすく音楽性を高めることのできる楽器はいつも夢に描いていたツールであった。

オーダーによるカスタムギターの製作が主になってからはキース・リチャーズ(Rolling Stones)、カーク・ハメット(Metallica)、リッチー・サンボラ(Bon Jovi)、ブラッド・ウィットフォード(AEROSMITH)、ドン・フェルダー(Eagles)、クリストファー・クロス、デヴィッド・クロスビー、ティム・ピアースなど往年のロックスターや職人肌のギタリストたちに長年愛用され、いつの日にか「この星で最高のギター」と呼ばれるまでの信頼を獲得していくのである。

「この星で最高のギター」ベーシックモデルとスペック

「この星で最高のギター」ベーシックモデルとスペック

※4

Tom Andersonのラインナップは「The S(ストラトシェイプ)」と「The T(テレシェイプ)」を筆頭に「COBRA」「Angel」「Raven」「Bobcat」「Crowdster」の合計7つのモデルに大別される。

またカスタムオーダーが主体となっているため使用される木材やコントロール等によっての名称も変わってくる。

ここでは使用者が多いモデルや定番をピックアップして紹介させていただこうと思う。

Drop Top

Drop Top

※5

まずTom Andersonと言ったらこのモデル、1991年に発表されたDrop Topである。

The Sタイプのボディシェイプにエキゾティックウッドが使用されたゴージャスな外観を持つモデルで、ピックガードのあるDrop Top Classicに比べカラーリングや杢の個性が堪能できるモデルとなっている。

エキゾティックウッドをトップに使用してギターを制作すると、カーブやコンター加工のためにボディ厚の約半分程を固い材で覆うため、音の硬さや薄さを気にするプレイヤーも多い。

しかし当モデルの場合はブックマッチのフィギュアード/キルトメイプルやコア材を良いトーンの得られた3/16"(4.76mm)の厚さで ボディに絡むように曲げてラミネイトするためリッチなトーンに仕上げられているのだ。 さらに非常になめらかなボディカーブがプレイヤビリティを向上させている。

The Classic

The Classic

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The Sモデルの中でモダンスペックとビンテージスタイルを兼ね備えたもう一つの定番モデルがこのThe Classicだ。

一見、同じくThe SモデルのIconとの差があまりなく思われるが、フルサイズのIconに比べやや小ぶりなPro AMベースのディンキーシェイプのボディ、トップからボディサイドに移動されたジャック、マスターVol/Toneの2ノブにVAブースターやAdd Bridgeが搭載されたコントロールなどプレイヤビリティーが考慮された様々なこだわりが反映されているのだ。

"The CLASSICは地球上にあるエレキの中で最高にベストな味わいのあるサウンドのギターだろうか?"

是非このメーカーからの問いへの答えを見つけていただきたい。

T Classic

T Classic

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1993年、Guitar Playerが誌上で行った36種類のTスタイルのギターレビューの中でベストとして選ばれたのがこのT Classicモデルである。

ピックガードやボディシェイプなどはオリジナルに忠実に仕上げられているが、シリーズ/パラレルを選択可能な5wayスイッチを使用したコントロールやソリッド/ホローをオーダー時に選択できるボディーなどはやはりカスタムギターブランドならでは配慮である。

Tom Andersonが"このスタイルのギターでこれ以上のものを作ることはできません"と語るクオリティを"テレマスター"のあなたにこそお試しいただきたい。

Cobra T

Cobra T

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Tom Anderson氏がフェイバリットの一つとして名をあげるのがこのCobraモデルである。

Cobraシリーズは柔らかなテンション感とハイフレットへのアクセスを考慮したブランドで唯一の24 3/4"(ミディアム)スケールを採用したモデルで、メイプルトップ/マホガニーバックのボディ、ローズウッドを指板に使用したマホガニーネックと相まったミッドの分厚さが特徴となっている。

そしてDrop Topテクノロジーにより実現されたなめらかなコンター、5wayスイッチやVAブースターなどを使用した多彩なサウンドバリエーションがライブでもスタジオでもあなたの音楽クオリティを高めることだろう。

Crowdster Plus

Crowdster Plus

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個性的なモデル多いこのブランドの中でもひときわ異彩を放つのがアコースティックモデルであるCrowdsterシリーズである。

ライブでの使用を前提に設計されたホールのないホローボディ構造に、ピックアップはL.R.Baggs製のElement、このギター用にカスタマイズされた3バンドEQ/プリアンプにより、バンドの中に入ったとしてもナチュラルなサウンドが得られるのが特徴となっている。

またCrowdster Plusにはブリッジ側にCMAエレキギターピックアップが搭載されており、アコースティックとエレクトリックのサウンドをミックスして使用できる。

このCMAピックアップはブロンズ弦を使用した際の微妙なニュアンスも繊細にアウトプットできる設計となっており、ただアコースティックにエレクトリックマイクを搭載したのみのモデルとは一線を画すハイエンドならではのクオリティとなっている。

Tom Anderson Guitarworksが作り出すギターの特徴

Tom Anderson氏がギターを制作するために大いにこだわっているのは、"いかに倍音成分を増やすか"、"いかにボディとネックの精度を上げるか”の2点である。

これらの設計思想を形にするため、ほぼすべてのモデルで採用されているスペックを以下で紹介しよう。

ステンレスフレット

ステンレスフレット

※10

2000年代初期から全モデルに採用されているのがジェスカー社と共同開発されたステンレスフレットである。

当時非常に硬く加工が難しいため敬遠されていたが、これを採用することにより求める倍音成分が増え耐久性も高くなったのだ。

A-Wedgeシステム

A-Wedgeシステム

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2点止めのネックジョイントに隠されているのはこのA-Wedgeシステムと呼ばれる加工だ。

ネック側が凸、ボディ側が凹の台形型となっており、ネックとボディの接地面積を増やすことで一体感とレゾナンスを得ることができる。

Buzz Feiten Tuning System

Buzz Feiten tuning system

※12

通常のギターでは完全にチューニングが合わないという構造上の問題を解決するのがこのBuzz Feiten tuning system。

独自の公式によってゼロフレット位置とサドル位置を割り出し、積極的にチューニングを合わせる仕組みだ。

同期モノや鍵盤楽器との現場が多いスタジオミュージシャン達に使用者が多いのもうなずける現代的な仕様である。

オプションについて

カスタムオーダーを主体としたブランドだけにピックアップやフィニッシュ、ブリッジやサーキットに至るまで様々なオプションが用意されている。

ピックアップ

ピックアップ

※13

Tom Andersonのモデルに採用されるピックアップはすべて自社で製作されており、すべての形状にハムキャンセルやカバーの有無等の選択が可能となっている。

モデルによっては出力の高い+(プラス)や低い-(マイナス)、シングルモデルにはリバースワインドモデルも用意されている。

エレクトロニクス

エレクトロニクス

※14

自社製のピックアップのポテンシャルを最大限に生かすコントロール部も自由に構成が可能だ。

5点セレクターでは選択できない配列を鳴らすことのできるAdd Bridge Push/Pullスイッチ、リアハムのフルパワーにワンタッチで到達できるBlower Switch、各ピックアップのシリーズ/パラレルとブロワースイッチで構成されるSwitcheroo、出力を4dbアップさせるパッシブブースターVA Boosterなど、ギター単体での幅広い音作りが実現できる。

ハードウエア

ハードウエア

ステンレスフレット

※15 ※16

もちろんブリッジやペグ、ステンレスフレットも様々なサイズが用意されている。

ブリッジやペグはモダンなロックタイプからヴィンテージタイプまで、フレットはヴィンテージタイプに近いものからジャンボサイズまで様々なチョイスが可能だ。

木部

木部

※17

ボディやネックで重要になってくる木材も多種多様なラインナップが用意されている。

エイジドモデル

※18

またフィニッシュオプションも杢やシェイプに合わせたものを選べるうえに、近年ではエイジドモデルも登場。

従来のイメージにとらわれずTom Andersonは進化しているのである。

後悔のない選び方

ここまでは歴史やスペックに紹介させていただいたが、それを踏まえいい個体の選び方について触れていく。

Tom Andersonのいい個体の基準、それはズバリ排気量と倍音量である。

ステンレスフレットのイメージか比較的ドンシャリなギターのイメージを持つ方も多いかもしれない。

無論そういう個体もあるが、そこにミッドレンジの押し出しが加わりフルレンジで音が飛ぶ個体が存在する。

そこに自社製のピックアップやフレット、高度な組み込みによる美しい倍音をまとった個体こそがアタリなのではないだろうか。

筆者の経験ではステンレスフレットに変更された2000年代初頭から半ばの個体が比較的アメリカンかつ倍音の多いため、LA系譜のスタジオミュージシャンライクなサウンドが作りやすい個体に出会える確率が高いだろう。

※1~18 画像©https://www.andersonguitarworks.com/

参照サイト Tom Anderson Guitarworks 公式Webサイト

Tom Andersonの価格相場

優美なルックス、その整ったサウンドからハイエンドギターの中でもずば抜けた"高値感"のあるTom Anderson。

しかしカスタムオーダーブランド特有の現象なのだろうか、スペックや条件によっては"抜け目"もある。

まず比較的手に入れやすい価格帯になってくるのは2000年代以前の個体、ステンレスフレット変更前であることとダメージが多いことが要因となってくる。

そしてもう一つ重要な点はなんといってもカラーリングである。

エキゾティックウッドを生かしたトランスカラーの中でもBora Bora Blue等の青系のカラーは非常に人気があり、中古新品問わず足が速く高価だ。

逆を言えばトランスカラーの中でも明るい色見ながらあまり派手さのないイエロー系、ダークなバイオレットやルビー系、そしてシンプルなルックスのエキゾティックトップではないアッシュボディのモデルやつぶしカラーであれば思ったよりも家計へのダメージなく夢の楽器を迎え入れることができるかもしれない。

しかし逆を言えば売却時もその個体の人気度に左右されるため、売却の可能性がある方は多少高くても人気スペックを選んでゲットしたほうが差額的にはダメージが少ないかもしれない。

また他のブランドと同様正規輸入品か否かも価格の差につながってくるのでチェックが必要だ。

正直なところ全盛期に比べると全体的に価格帯が下がり、他のブランドに比べてお買い得感の感じられる時代となった。

「この星で最高のギター」を直に手に取りその魅力を是非体感してみてはいかがだろうか?

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