Vanzandt 特集/コラム

【スペック&価格ガイド】Vanzandtギターの歴史と特徴を画像付きでまとめて解説

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【スペック&価格ガイド】Vanzandtギターの歴史と特徴を画像付きでまとめて解説

"ヴィンテージ以上にヴィンテージ...。"

Vanzandtのギターを一言で表すのならばこの言葉が一番しっくりハマる。

この記事ではVanzandtの歴史や特徴、メーカーの様々なこだわりや代表モデル、さらには価格相場感にまで迫り徹底解説していく。少々長くなるが最後までお付き合い頂けたら幸いである。

Vanzandtの歩み

Vanzandt

(画像©️ https://www.taurus-corpo.com/vanzandt)

「Van Zandt」と「Vanzandt」?

歴史の紹介に入る前に「Van Zandt」と「Vanzandt」の違いを先にお伝えしておく。

「Van Zandt」はアメリカ・テキサス州のピックアップブランド、「Vanzandt」は国産メーカーであるPGMが起ち上げたギターブランドである。

発足は80年代にピックアップブランドとして始まった「Van Zandt」が先で、ギターブランドとしての製作が始まったのは1993年となっている。

それではまずはピックアップブランドとしての始まりから紹介していこう。

"Van Zandt Pickups"としての始まり

"Van Zandt Pickups"としての始まり

創業者 W.L.Van Zandt氏(画像©️ https://vanzandtpickups.com/photo-gallery)

創業者であるW.L.Van Zandt氏は1950年代までカントリーギタリストとして活動していた。

そして1960年代の初期からはダラスにてピックアップのリワインドや修理を行っており、はじめは友人知人の物だったもののやがて小さなビジネスとして成り立つようになる。

当時から「リペアに出したら音を良くして返してくれる。」とピックアップを元の状態以上にするこだわりっぷりが徐々に口コミとなり評判は広がっていった。

その後、ホームメイドとも言えるほどの小規模ではあるが、ハンドワウンドのピックアップを製作するようになり、完璧を求めた彼はワイヤリングやマグネットの加工、はんだ付けに至るまで研究を重ねていったのである。

ある日、作業効率を向上させるために6基のボビンを同時に巻けるワインダーを購入したそうだが、そのクオリティーに納得できなかった彼はすぐに使うのをやめてしまい、ワインダーは工房の隅で眠りにつくこととなった。

完璧主義な職人気質であったVan Zandt氏の強いこだわりを表した面白いエピソードである。

Van Zandt氏の逝去、その後

エレキギター黎明期よりピックアップの製作に勤しんだW.L.Van Zandt氏、しかし1997年2月4日に会社を残したまま66歳でこの世を去ることとなる。

現在のVan Zandt Pickup社は彼の妻であるGloria氏と甥のJ.D.Prince氏が引き継いで運営をしている。

"もし我々がVan Zandt氏のようにできないのであれば、事業を辞める" と述べているほどVan Zandt氏の意思が尊重され現在へとその技術が受け継がれている。

"Vanzandt"ギターの始まり

PGM×Van Zandt

1993年、日本にもVan Zandtピックアップが流通するようになり、スティービー・レイヴォーン氏を彷彿させるテキサス魂&極上ブルースサウンドに魅了されたギタリストは少なくなかった。

そこで1978年からMoon Guitarsの製作などに関わってきた国産ギターメーカーであるPGM(Professional Guitar Manifacture)とVan Zandt Pickup社がタッグを組み「Vanzandt」という名のギターブランドが始まったのである。

国産ブランドながらも出身はテキサスという興味深い歴史を持つ「Vanzandt」。

"ヴィンテージ以上にヴィンテージ...。" と言わせしめるブランドはこうして始まったのである。

Vanzandtの特徴的なスペック

「ヴィンテージギターに肉迫するサウンドクオリティ」と「現代の楽器としての利便性」を両立させた"ネオ・ヴィンテージ" を目指して製作されるVanzandt製ギターには数々のこだわりのスペックが採用されている。

ピックアップだけにはとどまらないその魅力をご紹介させていただこう。

ネック

ネック

硬質なメイプル材を使用しロッドの仕込みも独自の方法を用いたメインコンダクトネックと呼ばれる非常に狂いの少ない仕上がりとなっており、弦の振動が逃げずサスティンのロスが少ないため伸びやかなトーンが実現されている。

またネック裏の塗装は下地より極薄のニトロセルロースラッカー仕上げとなっており、手になじみ直に木に触れているような質感だ。

指板

指板

スムーズなチョーキングとフィンガリングを実現するために指板のラディアスはオリジナルFenderに比べ緩やかな210mmRが採用されている。

またローズ指板モデルはインディアンローズに比べ硬質なマダガスカルローズウッドが採用されており、抜けがよく速いレスポンスを実現している。

そして細かい部分ではあるがポジションマークも独自に制作されたクレイドットが使用されている程のこだわりようだ。

弦周り

弦周り

弦楽器にとって大切な弦振動を支えるナットとブリッジにも様々なこだわりが詰め込められている。

まずナットはスティービー・レイヴォーン氏が使用していたことでも有名なオイル漬け牛骨ナットが搭載されている、ここはテキサスの魂を感じられるポイントの一つではないだろうか。

またトレモロユニット周りは、オリジナルのベントサドルからイナーシャブロックに至るまですべてスティール製となっており、小さな部分ながらヴィンテージの持つ豊かな倍音感や鈴なり感を実現するための根幹を担っているのである。

電装系

電装系

(画像©️ https://www.taurus-corpo.com/vanzandt)

ここは言わずもがな、テキサスにて100%ハンドワウンドされるVan Zandtピックアップが搭載されている。

同じストラトキャスタータイプでもTrue VintageやBlues、Rockなど様々なセットをチョイスして搭載しており、音楽性やバンドの構成などに合わせ広い選択肢が用意されている。

またそのポテンシャルを高めるためコンデンサーも自社で製作されている。

トーンをフルアップした際でも信号はコンデンサーを通過するため音質に大きな影響を与えることを理解している方は多いと思うが、その部分を制作しているブランドは数少ない。まさに妥協なき製品開発の結晶である。

塗装

塗装

PGM製品全般に言える特徴ではあるが、オリジナルの塗装剤と同じニトロセルロース・ラッカーを下地より使用、現在ポピュラーなポリエステルに比べ塗装の厚さを約1/3以下にすることでより木の鳴りをダイレクトにアウトプットできるのだ。

表面にグロスのようなつやが一切出ないほどの薄さのため実際に使用してみると実は非常に剥がれやすいのだが、その断面を見るとその薄さは一目瞭然、「これは鳴るわ」と思わざるを得ない感動の仕上がりである。

"一生保証"

Vanzandt製品は1本1本熟練の職人による独自のセットアップが施されており、一番鳴る状態に仕上げられているのはもちろんのこと、非常に正確なピッチに仕上げられている。

筆者も楽器店勤務時代に何度も取り扱ったのだが西海岸系ハイエンドも含めたUSAメイドの楽器と比べても段違いにピッチが良く非常に感動したのを覚えている。

12Fを0F(ナット部分)に見立てローコードを開放弦交じりで引いても一切の濁りを感じさせないピッチの良さはまさに職人の技、フレット処理や組み込みの正確さを実感できる一番のポイントであろう。

また規定における通常の使用状況下でのボディ本体の歪みや割れやネック本体のねじれや割れに対して永久保証が設けられており、製作されている楽器のクオリティへの自信とともにユーザーへの安心感を提供する非常に粋な心遣いがされているのだ。

"ネオ・ヴィンテージ" 代表的なモデル

さてここからはVanzandt製ギターの定番モデル達をボディシェイプに沿って紹介させていただこう。

STV Series

STV Series

(画像©️ https://www.taurus-corpo.com/vanzandt-stv)

STVシリーズはオーソドックスなストラトキャスタータイプ。

アッシュボディ/メイプル指板の50sスタイルが採用されたR1、アルダーボディ/ローズ指板の60sモデルR2が定番だが、アッシュ/ローズのR3モデルやラージヘッドストックが特徴の70Rモデルも用意されている。

ピックアップは上記の通りモデルに合わせ様々なセットが使用されている上カスタムオーダーも可能だ。

TLV Series

TLV Series

(画像©️ https://www.taurus-corpo.com/vanzandt-tlv)

テレキャスターシェイプを採用したTLVシリーズ。

アッシュボディメイプル指板の50sスタイルR1、アルダー/ローズの60sスタイルR2モデルに始まり、同PGMブランドMoonのレゲエマスターを彷彿とさせるP-90搭載のテレキャスターデラックスタイプC90もラインナップされている。

Bronson

(画像©️ https://www.taurus-corpo.com/vanzandt-entry)

24インチのショートスケール、2ピックアップのDuo-SonicタイプのBronsonモデル。

スタイリッシュなカラーリングやリーズナブルな価格など、手軽にVanzandtのクオリティに触れることのできるコストパフォーマンスモデルだ。

しかしエントリーモデルだからと言って一切の妥協は存在せず、レギュラーモデル同様のマダガスカルローズウッド指板やこのモデルのためにアレンジされたハンドワウンドピックアップFlat-Poleが採用されている。

Broken Arrow

Broken Arrow

(画像©️ https://www.taurus-corpo.com/vanzandt-entry)

オリジナルFenderでは600本ほどの生産数ともいわれているSwingerを基に製作されたBroken Arrowモデル。

元々様々な余り物のパーツを使用して製作された上ボディ下部がカットされた独特なギターであるが、Vanzandtの手にかかればそのルックスはそのままにしっかりと使えるギターとして生まれ変わっているのだ。

基本スペックは上記のBronsonと同様となっており、ピックアップポジションのセンターでは音のへこみが改善されたシリーズ接続(直列)が採用されている。

JMV Series

JMV Series

(画像©️ https://www.taurus-corpo.com/vanzandt-jmv)

近年様々なバンドのギタリストの使用により人気が高まっているJMタイプのJMVシリーズ。

このモデルにはただのジャズマスターでは終わらない大きな変更が加えられており、通常プリセットトーンとして使われる部分にHornet Switchと呼ばれる2つのピックアップをシリーズ接続しハムバッカーサウンドが得られる機能が搭載されている。

Hornet SwitchをONにするとトグルスイッチや通常のVol/Toneはバイパスされ、プリセットVol/Tone一のコントロールのみ有効となるためどのようなサウンドからでも瞬時にパワフルなハムバッカーに切り替えが可能だ。

 

Vanzandtの良い個体の選び方

さてここまではスペックや各ベーシックモデルについて紹介させていただいたので、Vanzandtの良い個体選びについて触れていく。

個体選びの項の一番最初の言葉としては非常に雑に感じてしまうかもしれないコメントだが、正直に申し上げよう。

個体差は非常に少なく、どの個体も非常に丁寧でよいピッチに仕上がっている。

もちろん重量やピックアップモデル、使用材などに起因する音の差は感じられるがそれ以外に関しては組み込み精度の高さと一生保証の項で触れたセットアップのおかげかどの楽器も一貫したPGMキャラクターに仕上げられている。

そのため注目していただきたい点は搭載されているピックアップと重量バランス、ルックスに絞られる。

パキっとしてサスティンのある楽器が好みの方は3.5kg~4kg前半の重めの個体、ふわっとした倍音や温かみを求める方は2.5kg~3kg前半の軽い個体に絞り、ピックアップでパワー感を付加したい方はRockセット搭載機、鈴なりを求める方はTrue Vintage搭載機など好みのスペックから素直にチョイスすることで非常に明確な楽器選びができるであろう。

ただ一つ注意点を申し上げるとすれば、薄い塗装ゆえチップや塗装剥がれが非常に起きやすい。中古で探す場合はもちろんのこと、新品であってもボディやヘッドの隅までチェックすることをお勧めする。

Vanzandtの価格相場

国内で製造されている楽器なだけあり、新品中古ともに球数は非常に多く比較的手軽に実機を手にすることが可能だ。

またショップオーダーによるハカランダ指板モノやカスタムカラーなどのリミテッドモデルも存在しており、こだわりのスペックを追い求めるプレイヤーには非常にありがたいのではないだろうか。

代表モデルであるSTV Series R1モデルであれば新品実売で20万円前半税込で手にすることができ、中古相場は16万-18万円税込がボリュームゾーンであるものの、使用感やスペックによっては10万円を切るものもあるため、弾き倒したいプレイヤーには掘り出し物を見つけるチャンスも多そうだ。

買取相場は大手イシバシ楽器の買取リストによるとSTV Series R1モデル並品¥48,000〜美品¥63,000で設定されており、定価¥270,000だということを鑑みるとやや控えめな買取価格設定に思えるが国産楽器は総じて買取価格は甘めに設定されがちである。

USA製のハンドワウンドピックアップと丁寧なつくりの国産の木部のコンビネーションは同価格帯の楽器の中では他の追随を許さない完成度を誇っており、アリーナクラスのアーティストであっても愛用者が絶えないのはルックス、使い勝手、サウンドどれをとっても価格以上のものだという証ではないだろうか。

TVやステージの上だけの憧れだけでは終わらない、"あの"ギターは意外とあなたのそばにあるものというのを実感できる良き例こそがこのVanzandtである。

"ヴィンテージ以上にヴィンテージ...。" この機会に是非試してみてはいかがだろうか。

2020/6月調査

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参照サイト トーラスコーポレーション Vanzandt公式サイト Vanzandt Pickups公式Webサイト 

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