Zemaitis 特集/コラム

【特集】Zemaitisギターの歴史と特徴を画像付きでまとめて解説

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【スペック&価格ガイド】Zemaitisギターの歴史と特徴を画像付きでまとめて解説パールが敷き詰められ彫金の施されたギター、ステージでひときわ輝きを放つ存在。それはまさにロックンロールの歴史に刻んだイギリスの栄光。

「Art With Strings」のキャッチコピーからもわかる通り、ここまで芸術性の高いギターは存在しないと言い切れるほど孤高の存在として今も数多くのギタリストから崇められているのが今回ご紹介するZemaitisである。

この記事ではそんなZemaitisの歴史や特徴、人気の代表モデルから価格相場観までも徹底解説していく。 少々長くなるが最後までお付き合い頂ければ幸いである。

Zemaitisの歩み

Zemaitisの歩み

(画像©️ https://zemaitisguitarcompany.com/)

創始者、そして唯一のビルダーTony Zemaitis

創始者、そして唯一のビルダーTony Zemaitis

(画像©️ https://www.zemaitisclub.com/gallery/tony-zemaitis/)

創始者であるTony Zemaitis氏(出生名はAntanas Kazimeras Zemaitis)は1935年に後のロックンロールの聖地となるイギリス、ロンドンに生を受ける。

学校を卒業し職人見習いとして家具製作に携わったものの、興味がギター製作となった彼は友人から借りたクラシックギターを見ながら独学でギター製作を始めたのである。

兵役を終えギター製作の研究にフォーカスするようになった彼はサウンドホールの形状やスケールの違いなど様々なプロトタイプを製作し、1965年から本格的にギタービルダーとして活動を始めた。

初期キャリアー~メタルフロントの誕生

初期キャリアー~メタルフロントの誕生

(画像©️ http://www.zemaitis-guitars.jp/)

今やZemaitisの代名詞といえばメタル・フロントを思い浮かべる方が大多数かと思われるが、Zemaitisの初期ラインナップの多くはアコースティックギターであった。

特に12弦ギターの製作を得意としており、Jimi HendrixがHear my train a comin’で使用していたものや、後にオークションで3000万円の価格がつき話題となったEric Clapton使用機なども含まれている。

60-70年代はライブパフォーマンスが劇的に変化していった時代である。大音量化が急速に進み、ギタリスト達は過激なサウンドを次々と生み出していたが同時に生み出されるノイズが大きな課題にもなっていた。

常に改良と新たなアイディアに挑戦していたTonyはエレキギターのハムノイズを減らすためにシールド性の高いメタル・フロントを考案する。

第一号はグラウンドホッグのトニー・マクフィーのために製作され、そのローノイズの効果とともに彫金師のダニー・オブライエンにより施される美しい彫金のデザインも相まって当時のロックアーティスト達の話題となったのである。

極まった芸術性~オリジナルZemaitisの終焉

パールフロント

パールフロント S22ST(画像©️ http://www.zemaitis-guitars.jp/)

メタル・フロントに続き発表されたのが幾何学的にマザー・オブ・パールがギターのトップを飾るパール・フロントモデルだ。

ステージのライトによってより鮮やかに美しく輝くパール・フロントモデルは最高級ギターとしてのゼマイティスのブランドをさらに印象付け多くのトップギタリストの注目を浴びることとなる。

ZemaitisStudent

ノンメタル・スチューデントモデル(画像©️ https://commons.wikimedia.org/wiki/File:ZemaitisStudent.jpg)

1980年代に入るとより多くの人の手に届くようにと装飾の少ないスチューデントモデルを製作、しかし想像をはるかに超える発注本数に泣く泣くこのモデルはオーダーストップとなる。

90年代には"2本と同じ楽器を作らない"というポリシーのもと様々なピックアップ構成やデザインの独創的なモデルを発表するが、2000年に以前から患っていた病を理由にギター製作を引退する。

40年を超える楽器製作のキャリアーの幕を閉じ、その2年後2002年8月17日にTonyはこの世を去ったのであった。

Zemaitisの再生

Tonyが亡くなり生産が終了した後も多くのプレイヤーやコレクターたちがZemaitis製の楽器を追い求め、生前に作られた個体はオリジナルZemaitisとして高騰を続けるのである。

そして2003年にTonyの妻アンと息子トニー・ゼマイティスJr.はゼマイティス・ギターの伝統を守ることこそトニーの意思であると神田商会の元で、ダニー・オブライエン等のスタッフの監修の下で再興する事となったのだ。

オリジナルのテンプレートや図面、メモ、顧客との通信などが残された情報を収集し、オリジナルモデルを忠実に再現、Greco Zemaitis(GZ)として復活する。

現在はブランド名をオリジナル期同様のZemaitisに戻し、これからもTonyの血統は受け継がれていくのである。

3つランクと代表的なモデル

神田商会のもと、再生産が始まったZemaitisのエレキモデルは現在以下の3つのランクに分けて生産されている。

1.Custom Shop

トニー・ゼマイティスが築き上げたアイデンティティを基本に、厳選した木材を卓越した技術を持った熟練のクラフトマンが1本1本丁寧に仕上げている。

2.Antanus (アンタナス)

トニー・ゼマイティスの意思を元に今日の新しいアイデアを盛り込んだクリエイティブなモデルを展開する。

3.Casimere (カシミア)

伝統のボディ・シェイプはそのままに、ピックアップや、ハードウェアなどのアレンジが施されたコストパフォーマンスの高いライン。

基本的にはオリジナル期を彷彿させるデザインのものが多いが、斬新なデザインのモデルも用意されているのでここからは代表的なモデルからユーザーフレンドリーな現行機種までを紹介させていただく。

CS24MF

CS24MF

CS24MF 定価¥550,000(税抜)(画像©️ http://www.zemaitis-guitars.jp/)

まずは代表機種でありカスタムショップで製作されるフラッグシップモデルのCS24MFモデル。

トップにはマスター・エングレイバーであるダニー・オブライエンがデザインしたリーフ・スクロール・デザインが忠実に再現され、デュラルミン製のブリッジやエスカッションなども彫刻の入ったオリジナルに忠実な仕上がりとなっている。

ボディやネックには厳選されたアフリカンマホガニーが使用されており、フィニッシュはラッカー、スタンダードなナチュラルと精悍なブラックのチョイスが可能だ。

A24SU DC BLACK PEARL DIAMOND

A24SU DC BLACK PEARL DIAMOND

A24SU DC BLACK PEARL DIAMOND 定価¥275,000(税抜)(画像©️ http://www.zemaitis-guitars.jp/)

ゼマイティスの伝統に新たな発想を取り入れたゼマイティス・アンタナスよりリリースされるゼマイティス独自のダブル・カッタウェイの“デュオカット”ボディに白蝶貝のダイヤ・インレイをボディ・トップに施したA24SU DC BLACK PEARL DIAMONDモデル。

ボディとネックにアフリカン・マホガニー、指板はローズウッドを使用し、ピックアップはゼマイティス・サウンドにマッチさせるべく開発された“ドラゴン・クラシック”ピックアップを搭載、キレのある中音域が特徴となっている。

またハイポジションでの演奏性も考慮したヒールレスデザインを採用することで、最終24Fまでのアクセスを容易にしている。

S24DT ARCHTOP & ARABESQUE

S24DT ARCHTOP & ARABESQUES24DT ARCHTOP & ARABESQUE 定価¥800,000(税抜)(画像©️ http://www.zemaitis-guitars.jp/)

長年にわたりローリングストーンズのロン・ウッドが愛用していることでも知られる独特のボディ・シェイプに印象的な丸いメタルプレート、3個のハムバッキング・ピックアップが搭載されたS24DTモデル。

ボディとネック材には長年シーズニングされた3ピースのホンジュラス・マホガニー、フィンガーボードにエボニーを用い、塗装は手間と時間がかかるブラックのラッカーフィニッシュ、平面出しの水研ぎ後、ハンドラッビングによる艶消しが施されている。

各ピックアップのトーンと5wayスイッチ、6弦側に配置されたマスターボリュームと比較的使いやすいコントロールとなっており、幅広いサウンドメイクが可能な楽器となっている。

CAJ-200HS-12

CAJ-200HS-12CAJ-200HS-12 定価¥160,000(税抜)(画像©️ http://www.zemaitis-guitars.jp/)

Zemaitisのキャリアー初期を代表するモデルとして挙げられるのがこの12弦ジャンボサイズのアコースティックギターだ。

外観の特徴としてはアヴァロンのロゼッタが施されたハートホールと、口ひげのような曲線が美しいマスタッシュブリッジ、17インチとかなり大柄なボディと相まってポップでかつゴージャスなルックスとなっている。

アコースティックモデルであっても比較的薄いネックグリップに仕上げられているため、このモデルも12弦としてはかなり弾きやすい部類に入るだろう。

Zemaitis製ギターの特徴的なスペック

上記の通りZemaitisはオリジナル期と神田商会(Greco)により製作されている時代とで大きく分けられているが、製作法やデザインなどをしっかりとリサーチして製作しているだけあって採用されるスペックなどはかなり近い。

ここではオリジナルから現在に至るまで受け継がれている独自のスペックについて紹介していこう。

3Pボディ&ネック

3Pボディ&ネック

キャリアの比較的初期からソリッドギターの木部は剛性を考慮し3P構造が採用されている。

そのためバックを見るとボディにもネックにも ラインが確認できる。 ただ現行のモデルではCustom ShopのTony's Collectionなどの1部を除き1Pネック、2Pボデ ィーが採用されていることが多い。

25インチスケール

 

25インチスケール

Gibsonの24.5インチとFenderの25.5インチの中間となる25インチスケールが採用されている。

現在ではPRSなどでも採用されており、程よいテンション感とストレッチの少なさが魅力だ。 なおオリジナル期には24.5インチスケールのものや特にアコースティックだとロングスケールのものも製作されている。

薄く幅広いネックグリップ

薄く幅広いネックグリップ

Zemaitisといえばこのかなり薄く幅広に感じるネックグリップが特徴だ。

Gibsonで例えるのであればSGや60'sのES-335に近いだろうか、アコースティックでも似たようなシェイプのため手の小さいプレイヤーにも優しいグリップである。

しかしこの薄さゆえかピッキング時のピッチの揺れや、若干のネックの耐久性の弱さを感じるユーザーも少なくないようだ。

だがエレキギターという元来不完全な楽器、そんなところも一つの味として受け入れるのがロックンロールではないだろうか。

オリジナルモデルは...

さて現行ラインナップを紹介してきたが、オリジナルモデルにはどのような個体があったか気になる方もいるのではないだろうか。

現行ラインナップでは比較的24F仕様のものが多いが意外と22Fのものも多く、メタルフロントモデルもそこまで彫刻がケバくないソリッドなルックスのものも少なくない。

内臓のプリアンプへTonyの興味が向いていた時代もあり、ブースター回路が内蔵されているものも時々見かける。

また1980年代に製造されたほとんど装飾のないナチュラルまたはウォルナットカラーのスチューデントモデルもまた違った趣を醸し出している。 ちなみにこのスチューデントモデルだが、彫刻を施したメタルトップを貼り付け、メタルフロントにコンバージョンされオリジナルとして流通された”まがい物”も多くあったそうだ。

オリジナル期の個体ってどうなの?

まず弾き心地に関してだがオリジナル期はさすが手工品という仕上がりで、現行モデルのかっちりした作りと比べるとかなり荒っぽい印象を受ける。特にキャビティ内やグリップの削り出しなど、それだけでオリジナルと判断ができそうなほどだ。

オリジナル期のネックグリップは現行よりもさらに薄く仕上げられており(少々怖いほど)、ピックアップはTonyハンドワウンドだったものの現行品ではDimarzio DP103 PAFが搭載されている点も大きな違いである。

オリジナル期のハンドワウンドピックアップはGrecoやFender Japan等でも使用されているGotoh製のピックアップをリワウンドして搭載されている個体が多いようだ。当時からポットやスイッチなどに関しても日本産のパーツが使用されている形跡があるが、残念ながら専門家でも当時のパーツの細かい由来などを判別するのはなかなか難しい。

ちなみにオリジナル具合の判別が難しい個体の判断基準だが、基本的には楽器店の専門スタッフが行うが、確定要素が少ない場合には有名雑誌に数多く寄稿している等の著名な権威の方に依頼し特定してもらうということもしばしば行われているようで、その場合は独自の証明書やスペック表を付属させていることが多い。

Zemaitisの価格相場観

最後にZemaitis製ギターの相場観であるが、オリジナルに関しては非常に高価な値付けがなされる。

海外サイト等含めるとメタルフロントでは200万円台から400万円台、パールフロントに至っては在庫自体がほとんどないが400~600万円台の履歴が複数残っている。

その反面、現行モデルに関してはかなりの新品特価の数があり、そのおかげか中古市場も買い手には優しい金額となっている。

要因としてはGreco Zemaitisブランドを挟んでしまったため高級感が出しにくいところとアンタナスシリーズやカシミアシリーズなど同じルックスで安価なモデルが数多く出てしまっただけに高級なカスタムショップモデルから遠ざかってしまったことが大きな理由として挙げられそうだ。エントリーモデルを増やして顧客を広げていくという販売戦略であるのだろうが、如何せんギター業界に関してはそういった販売戦略が裏目に出てしまっていることが多々見受けられる。

現行モデルに関しては買取価格もシビアな状況であり、大手イシバシ楽器の買取価格リストを参考に見てみると、フラッグシップモデルであるCS24MF FR4C 定価¥550,000(税抜)の買取価格は美品で¥144,000となっている。定価100万円近くで購入されたであろうTony's CollectionシリーズのS22STパールフロントモデルであっても買取で30万円台に満たないようだ。ちなみにパールフロントモデルの中古相場は60万円台からタイミングによっては100万円近くに値付けされるので乖離は大きいと言える。

そんなZemaitisであるが他のブランドに比べ生産中止になるモデルが非常に多く、中でもパールフロントモデルは生産された総数も少なくレア度は非常に高い。そのため相場をしっかり把握しておくと楽器店側も買取交渉に応じてくれる確率もグッと上がるので計算高くしたたかに対応したいものである。

売却をお考えの方には若干残念な状況ではあるが、Zemaitisのモデルは総じて買い手市場の気配が強いためこれからゲットを考えている方からすると手を出しやすい価格帯で売り出されている良質な個体が見つけやすい状況と言えるだろう。

華々しいロックンロールの歴史に刻まれたZemaitisという芸術をこの機会に是非とも試してみてはいかがだろうか。

2020/5月調査

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参照サイト Zemaitis Company公式サイト 神田商会Zemaitis公式Webサイト 

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